交通事故の示談交渉|自分で交渉する慰謝料と弁護士が交渉する慰謝料は違う!?
「はじめて交通事故で示談交渉するのだけれど、有効な示談交渉術や流れが知りたい…」
「交通事故の示談交渉を被害者が自分でした場合、慰謝料の金額や示談までの期間の相場はどうなっているの?」
「交通事故の示談交渉を弁護士に頼んだ場合は、慰謝料の金額や示談までの期間に違いがあるの?」
交通事故の示談交渉を経験したことがないという被害者の方がほとんどでしょうから、分からないことだらけでご不安なことかと思います。
そこで、このページでは、
- 交通事故の示談交渉の基礎知識
- 交通事故の示談交渉を被害者が自分でした場合の慰謝料や期間
- 交通事故の示談交渉を弁護士に頼んだ場合の慰謝料・期間・弁護士費用
についてご紹介していきたいと思います!
専門的な部分や実務的な部分は交通事故と刑事事件を数多く取り扱っている岡野弁護士に解説をお願いしております。
弁護士の岡野です。よろしくお願いします。
交通事故の示談交渉は、最終的に受け取れる金額を決める重要なものですから、示談交渉術や流れを知っておくことが重要です。
特に、交通事故の示談交渉を被害者が自分でされる場合には、経験豊富な保険会社の担当者と対等に交渉できるようにしておく必要があります。
また、交通事故の示談交渉を弁護士に頼むメリット・デメリットを考慮した上で、場合によっては弁護士を代理人に立てることの検討も必要です。
こちらで、交通事故の示談交渉についてしっかり理解し、納得のいく示談交渉を行い、妥当な慰謝料等の金額を受け取れるようにしましょう。
交通事故に遭った場合、示談交渉を被害者側と加害者側とで行い、解決を図るということはご存知の方も多いかと思います。
もっとも、示談交渉術とでもいうべき押さえておくべきポイントや示談交渉の流れまではよくご存じでない方が多いのではないでしょうか?
そこで、まずは、そういった交通事故の示談交渉の基礎知識から確認していきたいと思います!
交通事故の示談交渉について
交通事故の示談交渉とは何か?
まず、交通事故の示談交渉とは、一般的に以下のように定義されます。
交通事故の示談交渉
交通事故に関する民事上の争いを当事者間で解決するための話し合い
ここでのポイントは
- ① 民事上の争い
- ② 当事者間で解決するための話し合い
になります。
ここからは、各ポイントに分けて解説したいと思います。
①民事上の争い
交通事故が発生した場合、大きく
- 民事
- 刑事
- 行政
上の問題が生じます。
このうち、示談により解決できるものは民事上の争いだけになります。
刑事処分については、検察が起訴するかどうかを判断し、起訴された場合の罪刑は裁判を行った上、裁判所が判断します。
また、行政処分については、その名のとおり行政庁が処分を下すことになります。
そのため、刑事処分や行政処分については、当事者間で示談をしたとしても、別途処分がなされる可能性がある点には注意が必要です。
ただし、交通事故の示談が成立したことは、加害者の刑事処分の判断において有利な事情にはなります。
②当事者間で解決するための話し合い
そして、示談交渉が、当事者間で解決するための話し合いであるということは、裁判によらない解決を目指すということです。
交通事故の(民事)裁判とは、当事者の意思にかかわらず、裁判所が民事上の権利関係について終局的な判断を下すことによる解決方法になります。
もっとも、裁判は結論が出るまでに時間が掛かります。
そこで、民事上の紛争を迅速に解決するための手段として、当事者間での示談という解決方法が認められています。
ただし、示談は、当事者間での解決のため、被害者及び加害者双方の了承が必要になります。
内容 | 備考 | |
---|---|---|
① | 交通事故の民事上の争い | 刑事・行政処分は対象外 |
② | 当事者間で解決するための話し合い | ・迅速な解決手段 ・当事者双方の了承が必要 |
示談交渉術及び流れ|保険会社が相手方の場合
交通事故の示談交渉とは何かを確認したところで、続いては具体的な示談交渉の流れや交渉術をお伝えしていきたいと思います!
交通事故の示談交渉を誰が行うか
まず、交通事故の示談交渉の相手方は、加害者側が任意保険に加入している場合には、その保険会社の担当者になります。
一方、交通事故の示談交渉につき、被害者は任意保険に加入していても、被害者の過失割合が0の場合は自分でする必要があります。
任意保険会社の自動車保険には示談交渉サービスがついていますが、これは交通事故の相手方に示談金を払うことを前提とするものです。
しかし、被害者の過失割合が0の場合は、相手方に支払う示談金がないため、保険会社は示談交渉を代行することができません。
そのため、交通事故の被害者の過失割合が0の場合、被害者は自分で経験豊富な保険会社の担当者と示談交渉しなければいけません。
交通事故の示談交渉の具体的流れ
そして、交通事故の示談交渉の相手方が保険会社の場合、交通事故直後から示談までの流れは大まかに以下の表のようになります。
上記の表のとおり、交通事故の示談交渉は、治療終了時点または自賠責保険における後遺障害の等級認定の確定時点から開始される流れになります。
なお、交通事故における保険会社との示談交渉までの流れについては、以下の記事に詳しく記載されていますので、ぜひご覧になってみて下さい!
ただし、交通事故の示談交渉は物損については、これよりも先に行うことができます。
物損事故の示談までの流れや期間の相場については、以下の記事に詳しく記載されていますので、ぜひご覧になってみて下さい!
そして、治療終了後または自賠責保険における後遺障害の等級認定の確定後の示談交渉の流れは大まかに以下の表のようになります。
交通事故における示談までの流れについては、以下の記事に詳しく記載されていますので、ぜひご覧になってみて下さい!
交通事故の示談交渉術(対保険会社)
それでは、交通事故で示談交渉術とでもいうべき押さえておくべきポイントは、相手方が保険会社の場合、どのような点になるのでしょうか?
①安易に示談に応じない
交通事故の被害者は、示談交渉がはじめての方が多いため、経験豊富な保険会社の担当者の言われるがまま示談してしまうことにもなりかねません。
しかし、交通事故では、一度示談をしてしまうと、やり直して改めて請求することはまずできません。
そのため、交通事故の示談交渉術としては、まず、経験豊富な保険会社の担当者の言われるがままに安易に示談に応じないという点が挙げられます。
②交通事故の知識を得る
そして、保険会社の担当者の言われるがままに示談に応じないためには、交通事故の知識を得て、対等に交渉できるようにすることが必要です。
交通事故の示談交渉については、市販の本やマニュアルも書店で販売されていますので、それらを読んでみるのもよいでしょう。
もちろん、ご覧いただいているこちらの交通カタログにも、被害者の方に役立つ知識がたくさん掲載されていますので、ぜひご参照ください。
もっとも、被害者の方が自分で知識を得るのには限界があるかと思います。
そこで、大事な交通事故の示談交渉術としては、専門家などに相談してから示談交渉に臨むことです。
例えば、法テラスの以下の電話番号に連絡すれば、示談交渉のお悩みに関する法情報・法制度・適切な相談窓口を紹介してくれるようです。
もっとも、上記の窓口は、個々のトラブル等に応じた具体的な相談にまでは応じてくれませんので、その点は注意が必要です。
そこで、交通事故の示談交渉につき、より具体的に専門家である弁護士に相談されたい被害者の方には、以下のサービスがおすすめです。
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③示談交渉決裂なら裁判する姿勢
交通事故の示談交渉において、保険会社の担当者は、被害者が裁判はせず、最終的にはあきらめて示談するだろうと考えていることが多いです。
そのため、被害者としては、示談交渉決裂の場合には、裁判も辞さない姿勢を示すことが示談交渉において重要といえます。
もっとも、保険会社の担当者は、裁判には非常に手間がかかることを知っているので、ただ裁判をするといってもそれを真には受けません。
そこで、保険会社の担当者に本当に裁判も辞さない覚悟であると思ってもらう交渉術としては、訴状案を送付することが考えられます。
既に裁判を起こす準備ができていることを保険会社の担当者が知れば、示談交渉での担当者の対応が変わってくる可能性があります。
交通事故の示談交渉術としては、上記のような手段も選択肢の一つとして考えられます。
お伝えしたような、交通事故の示談交渉術を用いて、被害者は自分で経験豊富な保険会社の担当者と示談交渉するのが重要といえます。
示談交渉術 | 理由 | |
---|---|---|
① | 安易に示談に応じない | 示談したら追加請求不可 |
② | 交通事故の知識を得る | 保険会社と対等に交渉するため |
③ | 示談交渉決裂なら裁判の姿勢 | 保険会社は裁判せず示談するだろうと考えている |
示談交渉術及び流れ|加害者が相手方の場合
交通事故の示談交渉を誰が行うか
まず、交通事故では、加害者側が任意保険に加入していない、いわゆる無保険の場合も考えられます。
自賠責保険には任意保険会社の自動車保険と異なり示談交渉サービスがついていないため、この場合の相手方は加害者本人になります。
交通事故の示談交渉を被害者側の誰が行うかは、先ほどの保険会社が相手方の場合と同様になります。
交通事故の示談交渉の具体的流れ
また、交通事故の示談交渉の流れについても、基本的には保険会社が相手方の場合と同様になります。
交通事故の示談交渉術(対加害者)
それでは、交通事故で示談交渉術とでもいうべき押さえておくべきポイントは、相手方が加害者の場合、どのような点になるのでしょうか?
①自賠責に請求してから示談交渉
交通事故の示談交渉を加害者を相手方として行う場合、つまり加害者が任意保険に加入していない場合は、加害者側の資力が乏しいことが多いです。
そのため、交通事故の示談交渉術としては、まず、自賠責保険に被害者請求し、一定の金額を受け取ってから示談交渉する点が挙げられます。
一定の金額を先行して受け取ることで、経済的にも余裕を持った状態で示談交渉に臨むことができるようになります。
交通事故の被害者請求については、以下の記事に詳しく記載されていますので、ぜひご覧になってみて下さい!
なお、相手方である加害者が、強制保険の自賠責保険にも加入していない本当の無保険の場合には、政府保障事業に請求していくことになります。
②示談交渉を恐喝的にしない
交通事故の示談交渉を被害者と加害者が直接行う場合、どうしても感情的になってしまうことも考えられます。
しかし、示談交渉において恐喝的な言動があった場合には、最悪の場合、刑事事件に発展してしまう可能性も0ではありません。
そこまでには至らない場合でも、恐喝的な言動は加害者側の態度を硬化させ、示談交渉の期間が長引く要因になります。
そのため、交通事故の示談交渉術としては、恐喝的な言動を決して取らず、あくまで冷静に交渉する点も挙げられます。
③加害者側の資力を踏まえた交渉
交通事故の示談交渉術として、保険会社が相手方の場合は、示談交渉決裂なら裁判も辞さない姿勢という点を挙げました。
もっとも、加害者が相手の場合は、加害者側の資力を踏まえた上で、示談交渉を継続すべきか裁判すべきかを検討する必要があります。
加害者の資力が乏しい場合、裁判をして判決を得たとしても、実質的に回収できない可能性があるからです。
そのため、多少不満があっても、金額を下げたり、分割払いに応じることで加害者からの確実の回収を目指すのも示談交渉術の一つです。
ただし、示談交渉の要求を無視し、交通事故の示談交渉に加害者がまったく応じないような場合には、裁判せざるを得ない場合もあります。
交通事故の示談交渉は、民事上の争いを迅速に解決するための手段ですが、示談後の請求はまずできないので、慎重に行う必要があります。
特に、被害者の方に過失割合が認められない場合には、被害者が自分で示談交渉をしなければいけない点には注意が必要です。
また、示談交渉の相手方が保険会社が加害者かにより、対応を変えなければいけない点もあるので、その点にも注意が必要といえます。
示談交渉術 | 理由 | |
---|---|---|
① | 自賠責に請求してから示談交渉 | ・加害者の資力に不安 ・余裕をもって示談交渉に臨める |
② | 示談交渉を恐喝的にしない | ・最悪刑事事件に発展 ・示談交渉の期間が長引く要因 |
③ | 加害者側の資力を踏まえた交渉 | ・裁判しても回収できない可能性 ・加害者から少しでも確実に回収 |
交通事故の示談交渉を自分でした場合は?
お伝えしたとおり、交通事故の示談交渉は被害者の過失割合が0の場合、被害者が自分でしなければいけません。
では、示談交渉を被害者が自分でする場合には、具体的にはどうなるのでしょうか?
まずは、示談交渉を被害者が自分でした場合の慰謝料の金額の相場を確認していきたいと思います!
示談交渉を自分でした場合の慰謝料の相場は?
ここでは、交通事故の示談交渉を任意保険会社を相手方に、被害者が自分でする場合の慰謝料の相場をお伝えします。
交通事故の慰謝料は大きく
- 入通院慰謝料
- 後遺障害慰謝料
- 死亡慰謝料
に分けられます。
ここからは、示談交渉を、被害者が自分でする場合の慰謝料の相場を、各種類の慰謝料ごとにお伝えしていきたいと思います!
入通院慰謝料
まず、入通院慰謝料につき、被害者が自分で示談交渉した場合の相場の金額は、入通院の期間に応じ、以下の表のように定められています。
この表だけ見ると、何となくそれなりに高そうな金額にも見えますよね・・・。
もっとも、後ほどご紹介する弁護士に頼んだ場合の相場に比べるとかなり低い金額になっているんです!
また、症状や実通院日数によっては、上記の表の慰謝料の金額から増減額の補正がなされる場合があるようです。
後遺障害慰謝料
次に、後遺障害慰謝料につき、被害者が自分で示談交渉した場合の相場の金額は、認定された等級に応じ、以下の表のように定められています。
等級 | 相場の金額 |
---|---|
第1級 | 1300万 |
第2級 | 1120万 |
第3級 | 950万 |
第4級 | 800万 |
第5級 | 700万 |
第6級 | 600万 |
第7級 | 500万 |
第8級 | 400万 |
第9級 | 300万 |
第10級 | 200万 |
第11級 | 150万 |
第12級 | 100万 |
第13級 | 60万 |
第14級 | 40万 |
※示談交渉の相手方が任意保険会社の場合
こちらも実は、後ほどご紹介する弁護士に頼んだ場合の相場に比べるとかなり低い金額になっています。
死亡慰謝料
そして、死亡慰謝料につき、被害者が自分で示談交渉した場合の相場の金額は、被害者の立場に応じ、以下の表のように定められています。
被害者の立場 | 相場の金額 |
---|---|
一家の支柱 | 1500万〜2000万 |
母親、配偶者 | 1200万〜1500万 |
その他 | 1300万〜1600万 |
※示談交渉の相手方が任意保険会社の場合
こちらもやはり、後ほどご紹介する弁護士に頼んだ場合の相場に比べるとかなり低い金額になっています。
示談交渉を自分でした場合の期間の注意点は?
では、交通事故の示談交渉に要する期間は、被害者が自分でした場合、どれ位かかるのでしょうか?
結論から申し上げると、示談交渉の期間がこれくらいと一概にいうことはできません。
個々の交通事故の様々な事情により、かかる期間は変わってきます。
一般論でいえば、被害者の方が金額の面で加害者側に譲歩すればするほど、期間を短くすることはできます。
一方、交通事故の示談交渉は、損害額だけでなく、過失割合も争いになっている場合には期間が長引く傾向にあります。
示談交渉が開始されるまでの期間
なお、交通事故の示談交渉の期間については、いくつか注意点があります。
まずは、交通事故発生から解決までの期間で考えると、示談交渉自体の期間のみならず、示談交渉が開始されるまでの期間も問題になるという点です。
お伝えしたとおり、交通事故の示談交渉は、治療終了時点または自賠責保険における後遺障害の等級認定の確定時点から開始される流れになります。
そのため、以下のツイートのように、後遺障害の等級認定の前提となる申請に時間が掛かる結果、交通事故の示談交渉が進まないケースもあるようです。
最近は交通事故の示談交渉が全然すすまないことにいらいらしています。自分で被害者請求書を書いていますがなかなか書類を揃えるのにお金がなく診断書など全部そろわなく後遺症で仕事も少ししかできす収入がなく先に進まない。苦しい。
— 田村彰宏 (@AaaEspecialman) November 29, 2012
示談交渉を終える必要がある期間
また、交通事故の示談交渉の前提となる被害者の加害者に対する損害賠償請求権には時効というものが存在します。
そのため、交通事故の示談交渉を被害者が自分でする場合には、損害賠償請求権の時効消滅にも気を配る必要があるという注意点があります。
ただし、交通事故の示談交渉の中で、加害者が損害賠償義務があることを認め(承認し)ている場合には、時効は中断することになります。
交通事故の示談交渉を自分でされた方のブログ
交通事故の示談交渉をはじめて自分でされる被害者の方は、本当に自分でできるのか、疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思います。
そこで、実際に交通事故の示談交渉を自分でされた被害者の方のブログをいくつかご紹介したいと思います。
まずは、こちらのブログです。
こちらのブログは、自分で過失割合についても争い、納得のいく慰謝料を勝ち取った被害者の方の経緯が掲載されています。
また、こちらのブログの被害者の方は交通事故紛争処理センターを利用して解決されたようです。
交通事故紛争処理センターについては、以下の記事に詳しく記載されていますので、ぜひご覧になってみて下さい!
続いてはこちらのブログです。
こちらのブログの被害者の方は、示談交渉につき物損は自分で解決されたようで、その経緯やお気持ちが記載されています。
ただし、人身分は弁護士に相談して示談交渉しており、はっきりとは書かれていませんが、最終的には弁護士に頼んでいるようです。
このような、実際に交通事故の示談交渉を自分でされた被害者の方のブログも、一つ参考にしてみるのが良いかと思います。
交通事故の示談交渉を被害者の方が自分でする場合、ご紹介した慰謝料の相場以上の金額を受け取るのは極めて困難と考えられます。
また、示談交渉の期間については、開始までの期間や時効の期間についても注意する必要があります。
示談交渉を自分でする場合であっても、分からないことやご不安な点があれば、示談前に弁護士に相談だけでもしてみることをおすすめします。
交通事故の示談交渉を弁護士に頼んだ場合
上記のブログのような方もいるとはいえ、交通事故の示談交渉を被害者が自分でするのは、手続的にも中々大変かと思います。
その場合、弁護士に委任状を渡して代理人として選任すれば、示談交渉の手続的負担の一切から逃れられることができます。
それだけではなく、交通事故の示談交渉を弁護士に頼んだ場合、慰謝料の金額や示談までの期間にも違いが出てきます。
示談交渉を弁護士に頼んだ場合の慰謝料の相場
交通事故の示談交渉を弁護士に頼んだ場合にも慰謝料の金額の相場は存在します。
では、弁護士に頼んだ場合にも慰謝料の金額の相場は、被害者が自分でした場合とどれくらい違いがあるのでしょうか?
ここからは、示談交渉を、弁護士に頼んだ場合の慰謝料の相場を、各種類の慰謝料ごとにお伝えしていきたいと思います!
入通院慰謝料
まず、入通院慰謝料につき、示談交渉を弁護士に頼んだ場合の相場の金額も、入通院の期間に応じて定められています。
ただし、弁護士に頼んだ場合には、被害者の症状に応じて入通院慰謝料の相場が変わってきます。
具体的には、被害者の症状がむち打ち・打撲等で他覚所見のない比較的軽症の場合には、以下のようになります。
続いて、先ほどの場合以外の通常の入通院慰謝料の相場の金額は以下のようになります。
先ほどの相場に比べると、かなり金額が高くなっていますね!
誤って違う方の相場で計算してしまうと、慰謝料の金額の見通しが大幅に狂うことになるので注意しましょう。
そして、弁護士に頼んだ場合と被害者が自分でした場合との入通院慰謝料の相場の金額の差額は以下の表のようになります。
月数 | 通院慰謝料 | 入院慰謝料 |
---|---|---|
1 | 6.4万 | 9.8万 |
2 | 10.8万 | 15.6万 |
3 | 15.2万 | 16.4万 |
4 | 19.1万 | 20.2万 |
5 | 22.3万 | 21.6万 |
6 | 24.7万 | 23.5万 |
7 | 26.4万 | 23.9万 |
※他覚所見のないむち打ち症を想定
比較的軽症なむち打ちの通院でも、5ヶ月を超えると20万円以上も相場の金額に差があるんですね!
後遺障害慰謝料
次に、後遺障害慰謝料につき、示談交渉を弁護士に頼んだ場合の相場の金額と被害者が自分でした場合の金額との差額は以下のとおりです。
等級 | 弁護士基準の金額 | 自分でした場合との差額※ |
---|---|---|
第1級 | 2800万 | 1500万 |
第2級 | 2370万 | 1250万 |
第3級 | 1990万 | 1040万 |
第4級 | 1670万 | 870万 |
第5級 | 1400万 | 700万 |
第6級 | 1180万 | 580万 |
第7級 | 1000万 | 500万 |
第8級 | 830万 | 430万 |
第9級 | 690万 | 390万 |
第10級 | 550万 | 350万 |
第11級 | 420万 | 270万 |
第12級 | 290万 | 190万 |
第13級 | 180万 | 120万 |
第14級 | 110万 | 70万 |
※示談交渉の相手方が任意保険会社の場合
ほとんどの等級で倍以上、等級によっては3倍も金額が変わってくるんですね!
死亡慰謝料
最後に、死亡慰謝料につき、示談交渉を弁護士に頼んだ場合の相場の金額と被害者が自分でした場合の金額との差額は以下のとおりです。
被害者の立場 | 弁護士基準の金額 | 自分でした場合との差額※ |
---|---|---|
一家の支柱 | 2800万 | 800万〜1300万 |
母親、配偶者 | 2500万 | 1000万〜1300万 |
その他 | 2000万〜2500万 | 400万〜1200万 |
※示談交渉の相手方が任意保険会社の場合
1000万円以上も金額に差があることが多いんですね!
交通事故の示談交渉の対象は、慰謝料に限らず、逸失利益や休業損害など損害賠償の金額全般になります。
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このように、交通事故の示談交渉を弁護士に頼んだ場合と被害者が自分でした場合とでは慰謝料の相場の金額に大きな差があります。
では、なぜそのような大きな差が生まれるのでしょうか?
実は、交通事故の示談交渉を弁護士に頼んだ場合の慰謝料の相場は、裁判で認められる慰謝料の相場になります。
支払額を抑えたい営利企業の任意保険会社は、示談で解決する場合には、裁判よりもかなり低額の相場での解決を図ります。
それが、先ほどご紹介した、示談交渉を被害者が自分で任意保険会社を相手方に行った場合の相場になります。
では、なぜ、弁護士に頼むと、裁判をせずに、裁判で認められる慰謝料の相場の金額での示談に保険会社は応じるのでしょうか?
それは、示談交渉を弁護士に頼んだ場合、交渉決裂すれば、裁判を起こされ、裁判の高額な相場の慰謝料を払わなければいけない可能性が高いからです。
つまり、どちらにせよ、裁判の高額な相場の慰謝料を払わなければいけないのであれば、示談で早期に解決したほうが得と保険会社が考えるからです。
交通事故の被害者にとっては、裁判をせず迅速に裁判の高額な相場の慰謝料を受け取れる点に弁護士を頼むメリットがあるといえます。
示談交渉を弁護士に頼んだ場合の期間の注意点
交通事故の示談交渉を弁護士に頼んだ場合、受け取れる慰謝料の金額の相場に大きな違いがあることはわかりました。
では、交通事故の示談交渉を弁護士に頼んだ場合の期間については何か注意点はあるのでしょうか?
結論から申し上げると、示談交渉を弁護士に頼んだ場合、示談交渉自体の期間は短くなる場合も長くなる場合もあるのが注意点になります。
一般論でいえば、慰謝料などの金額が比較的低額で損害額のみが争点の場合には、示談交渉は弁護士が入ることで期間が短くなる可能性もあります。
一方、慰謝料の金額が高額の場合や過失割合が争いになっている場合、支払金額が大きく変わる可能性があるため期間が長引く傾向にあります。
示談交渉が開始されるまでの期間
ただし、交通事故直後から弁護士に頼んでいたような場合には、示談交渉が開始されるまでの期間は短くなる傾向にあるといえます。
その場合、後遺障害の申請準備を迅速に行える結果、後遺障害等級認定の確定までの期間が短くなる傾向にあるからです。
なお、後遺障害の申請を弁護士に頼むメリット・デメリットについては、以下の記事に詳しく記載されていますので、ぜひご覧になってみて下さい!
示談交渉を頼む場合の弁護士費用の金額の相場
交通事故の示談交渉を弁護士に頼んだ場合、受け取れる慰謝料などの金額が大幅に増えることはわかりました。
もっとも、交通事故の示談交渉を弁護士に頼むには、弁護士費用が掛かります。
その弁護士費用が慰謝料等の増額分を上回るのであれば、いわゆる費用倒れになり、金銭的に被害者が損をしてしまいます。
では、交通事故の示談交渉を弁護士に頼む場合の弁護士費用の金額に相場はあるのでしょうか?
現在、弁護士費用は各弁護士事務所が自由に設定できることになっています。
もっとも、調査してみたところ、交通事故の示談交渉の弁護士費用には、一定の相場のようなものがあるようです。
具体的には、回収額の11%+22万円(税込)を弁護士費用としている弁護士事務所が多いようです。
また、既に示談金の提示がある場合には、回収額ではなく、増額した金額を弁護士費用の基礎とする事務所も比較的多いようです。
具体的には、増額した金額の22%+22万円(税込)を弁護士費用としている弁護士事務所が比較的多いようです。
ただし、これらはあくまで一般的な相場ですので、実際に弁護士に頼む際には事前に弁護士費用をよく確認することが重要です!
絶対ではないですが、後遺障害が認定されている場合、弁護士を頼んだ場合の増額分が弁護士費用を上回ることがほとんどと考えられます。
また、増額した金額を弁護士費用の基礎とする場合、費用倒れの可能性が低いので、一旦自分で示談交渉してから弁護士に頼むという方法もあります。
弁護士に相談すれば、費用倒れになりそうかどうかについてもアドバイスをもらえるはずですので、まずは弁護士に相談してみましょう。
【参考】司法書士に交通事故の示談交渉を依頼した場合
なお、弁護士ではなく、認定司法書士に交通事故の示談交渉を依頼するという方法も考えられます。
弁護士に比べて、認定司法書士は示談交渉を依頼した場合の費用が比較的低額な傾向にある点はメリットになります。
一方で、認定司法書士は示談交渉できる金額に140万円未満という限度額があるのが注意点になります。
また、これは認定司法書士に限らず弁護士もですが、交通事故の分野を得意としているかどうかをしっかりと確認する必要があります。
どの弁護士や認定司法書士に交通事故の示談交渉を依頼するかは、お伝えしてきた点を総合的に考慮して慎重に決める必要があるといえます。
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ここまで交通事故の示談交渉についてお伝えをしてきましたが、読んだだけではわからないことがあった方もいるのではないでしょうか?
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最後に一言アドバイス
それでは、最後になりますが、交通事故でお悩みの方に一言アドバイスをお願いします。
交通事故の示談交渉を被害者が自分でされる場合には、お伝えしたような示談交渉術を頭に入れたうえで交渉に臨む必要があります。
また、交通事故の示談交渉を弁護士に頼むメリットは大きいので、弁護士費用との兼ね合いもありますが、依頼をよく検討されることをおすすめします。
弁護士費用との兼ね合いで弁護士に依頼した方がいいかお悩みの方も、まずは弁護士などの専門家に相談してみることが大事です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
このページを最後までお読みの方は、
- 交通事故の示談交渉の基礎知識
- 交通事故の示談交渉を被害者が自分でした場合の慰謝料や期間
- 交通事故の示談交渉を弁護士に頼んだ場合の慰謝料・期間・弁護士費用
について理解を深めていただけたのではないかと思います。
これを読んで弁護士に相談した方が良いと思った方も多いハズです。
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また、このホームページでは、交通事故に関する関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてください!
皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
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