後遺障害の症状とその等級認定基準|むちうちで14級・12級となる症状の違いとは
この記事の内容をまとめると以下の通りです。
- 後遺障害の症状とは、「怪我の治療が完了したにも関わらず残ってしまった障害の症状」のこと。
- 交通事故の後遺障害の症状としては、「痛み」や「痺れ」、「めまい」や「頭痛」、重症になると「高次脳機能障害」や「身体の麻痺」などが挙げられる。
- 症状が残っているだけでは損害賠償を受け取ることはできず、後遺障害の等級認定を受ける必要がある。
後遺障害の症状が残り、それに対する慰謝料や等級認定についてお悩みの方は、ぜひご一読ください。
目次
改めて、後遺障害の症状とは、
- 治療が終了した時点
- 症状固定した時点
で残っている症状のことです。
ちなみに、症状固定とは、以下のような意味になります。
症状固定
医学上、一般に認められた治療方法を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態
つまり、症状固定とは、痛みなどの症状がなくなった段階のことではないということなのですね。
そして、これ以上治療の効果が期待できないような症状が後遺障害として認定されることになります。
では、交通事故の場合、どのような症状が後遺障害として残るのでしょうか。
まずは、その点から一緒に見ていきましょう。
交通事故による後遺障害の症状とは
交通事故の被害にあった場合、様々な怪我を負う可能性があります。
その怪我が完治すれば良いのですが、残念ながら治療が完了したにも関わらず、症状が残ってしまう可能性があります。
それが、後遺障害です。
交通事故による後遺障害の症状として、代表的なものを以下に挙げてみました。
症状①手や足の痺れ(神経障害)
交通事故による怪我の治療が完了した後でも、手や足に鈍い痺れなどが残るケースがあります。
あの交通事故から2年
いまだに足腰肩腕は痛い。
痺れも残って後遺障害認定。示談は終わってません。
— kco (@keico25) February 27, 2019
むちうちや椎間板ヘルニアが原因のこともありますし、脳損傷など、もっと重大な怪我が原因となっている場合もあります。
また、骨折の後遺障害としても残りやすいようです。
症状②首や腰の痛み
首筋や背中、腰に痛みが残ることも多くあります。
特に、肩こりや耳鳴り、頭痛、めまい、吐き気などの症状と同時に発生することが多く、事故の翌日あたりから症状が出現することが多いのも特徴です。
主に、追突事故によるむちうち(頚椎捻挫)が原因となっていることが多いでしょう。
症状③めまい・頭痛・吐き気
上で説明した、「首や腰の痛み」と同時に症状が現れた場合、むちうちが原因となっている可能性が高いです。
他に、脳脊髄液減少症が発症した場合にも、めまいなどの症状が続くことがあるようです。
一方、むちうちではなく、脳損傷などの重大な怪我が原因となっている場合も考えられますので、注意が必要です。
症状④意識障害
脳損傷を負った場合、意識障害の症状が現れることもあります。
数時間で回復することもあれば、長時間の意識障害が発生してしまうこともあります。
意識障害が長期間にわたる場合には、植物状態の後遺障害であると判断されることになります。
症状⑤高次脳機能障害
重大な脳損傷を負った場合、性格が変わってしまったり、怒りっぽくなってしまったりする高次脳機能障害の症状が現れることもあります。
症状⑥身体の麻痺
他に、脳損傷を負った場合や、脊髄損傷を負った場合、身体の全部もしくは一部に麻痺が残ってしまうことがあります。
例まとめ
後遺障害の代表的な症状
症状 | 原因となる怪我 |
---|---|
痺れ(神経障害) | ・脳損傷 ・骨折 ・椎間板ヘルニア ・むちうち ・神経の損傷 |
痛み | ・むちうち |
めまい・頭痛・吐き気 | ・脳損傷 ・脳脊髄液減少症 ・むちうち |
意識障害 | ・脳損傷 |
高次脳機能障害 | ・脳損傷 |
身体の麻痺 | ・脳損傷 ・脊髄損傷 |
以上のように、交通事故による後遺障害の症状は様々で、それぞれ適切な治療対処を行っていく必要があります。
決してご自身だけで判断せず、病院で診断を受けるようにしてください!
後遺障害の症状に応じた等級の認定
上記のような後遺障害の症状が残った場合、そのことに対する損害賠償を請求することができます。
ただし、症状が残っているだけでは損害賠償を受け取ることはできません。
まずは後遺障害の等級認定を受ける必要があります。
等級認定の申請方法については、こちらの記事をご覧ください。
後遺障害の等級認定基準と条件
後遺障害の等級は、1級~14級に分けられ、数字が低いほど重い症状が残っているということになります。
それぞれの等級認定基準は、以下のリンク先をご覧になってみてください。
1級 | 2級 | 3級 |
4級 | 5級 | 6級 |
7級 | 8級 | 9級 |
10級 | 11級 | 12級 |
13級 | 14級 |
また、認定基準以外にも、症状の一貫性などの要件を満たしている必要があります。
条件 | |
---|---|
一定以上の症状 | ・後遺症等級認定14級以上 |
症状の一貫性と連続性 | ・一貫して同じ症状内容を主張し、その症状が連続していること |
自覚症状の証明 | ・症状が医学的に証明できること |
そして、それらの内容が病院の医師が作成した後遺障害診断書に記載されている必要もあります。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
(例)むちうちで12級と14級に認定される症状の違いとは?
ここで、交通事故で負いやすいむちうちの等級認定を例に見てみましょう。
むちうちの場合には他に、7級や9級も認定される可能性がありますが、非常に稀なようです。
それぞれの認定基準は、以下の通りです。
認定される基準 | |
---|---|
14級 | 頚部や肩甲部の局部に痛みに加え、局部から手指にかけて、痺れや重だるさなどの神経症状を残す場合 |
12級 | 局部に残存する神経症状が頑固なものと医学的に証明できる場合 |
9級 | 神経系統の機能または精神に障害を残し、その障害によって働くことができる仕事が相当限定されている場合 |
7級 |
つまり、痛みなどの症状があるだけでは、14級が認定されるか否か…ですが、画像所見や神経学的検査の結果により、医学的に証明できる場合は12級が認定される可能性があります。
12級と14級では症状が違うというよりも、その症状を証明できるかどうかが重要ということになるんですね。
証明手段 | 内容 | |
---|---|---|
画像所見 | 画像を用いて患者の症状や原因を医師が判断 | |
神経学的検査 | スパーリングテスト | 頸髄付近の神経根の出口を狭めるテスト |
筋萎縮検査 | 両方の腕や足の周径を計測する検査 | |
知覚検査 | 皮膚の感覚に異常がないかを確認する検査 | |
深部腱反射テスト | むちうちに関わる神経箇所を叩き、異常を確認する検査 | |
徒手筋力検査 | 筋力の低下の度合いを調べるテスト | |
ラセーグテスト | 仰向けに寝かせ、片脚を上に挙げていくテスト |
さらに、後遺障害の症状により仕事にも大きな影響が出ていることを証明できれば、7級や9級認定の可能性もあるのですね。
後遺障害の症状が残ったことに対する損害賠償
そして、後遺障害の等級が認定されると、その等級=症状に応じて、損害賠償が支払われることになります。
後遺障害慰謝料
まずは後遺障害慰謝料です。
ここで、慰謝料の基準には、
- 自賠責保険に請求する場合
- 任意保険会社が提示する場合
- 弁護士が相手側や保険会社に請求する場合
の3つの基準が存在しているということを覚えておいてください。
後遺症等級 | 自賠責基準※1 | 任意保険基準※2 | 弁護士基準 |
---|---|---|---|
1級 | 1100 (1600) |
1300 | 2800 |
2級 | 958 (1163) |
1120 | 2370 |
3級 | 829 | 950 | 1990 |
4級 | 712 | 800 | 1670 |
5級 | 599 | 700 | 1400 |
6級 | 498 | 600 | 1180 |
7級 | 409 | 500 | 1000 |
8級 | 324 | 400 | 830 |
9級 | 245 | 300 | 690 |
10級 | 187 | 200 | 550 |
11級 | 135 | 150 | 420 |
12級 | 93 | 100 | 290 |
13級 | 57 | 60 | 180 |
14級 | 32 | 40 | 110 |
※1 被扶養者がいる場合や要介護の場合には金額が異なるケースがある。
()内は要介護の場合の金額。
※2 旧任意保険支払基準による。
後遺障害慰謝料の増額のためには、自分の症状に見合った、より高い等級を獲得するのはもちろん、弁護士基準での慰謝料を獲得することも重要です。
しかし、被害者の方だけで保険会社と交渉した場合、任意保険基準や自賠責基準での慰謝料しか提示してくれないことがほとんどです。
適正な慰謝料獲得に向けては、ぜひ弁護士に相談してみてください。
逸失利益
そして、後遺障害が残った場合には、慰謝料の他に逸失利益も受け取れることになります。
ちなみに逸失利益の計算方法は、以下のようになっています。
逸失利益の計算方法
(基礎収入)×(労働能力喪失率)×(労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数)
それぞれの項目の意味は以下の通りです。
項目 | 意味 |
---|---|
基礎収入 | 後遺障害が残らなければ、得られていたであろう収入 |
労働能力喪失率 | 後遺障害が残ったことによる減収の割合 |
労働能力喪失期間 | 後遺障害によって減収が発生する期間 |
中間利息控除係数 | 逸失利益を症状固定時の金額にするための係数 |
労働能力喪失率も、慰謝料と同じく等級ごとに定められており、以下の表に示しました。
等級 | 労働能力喪失率 |
---|---|
第1級 (別表第1) |
100% |
第2級 (別表第2) |
|
第1級 (別表第2) |
|
第2級 (別表第2) |
|
第3級 | |
第4級 | 92% |
第5級 | 79% |
第6級 | 67% |
第7級 | 56% |
第8級 | 45% |
第9級 | 35% |
第10級 | 27% |
第11級 | 20% |
第12級 | 14% |
第13級 | 9% |
第14級 | 5% |
労働能力喪失期間については、原則として就労可能な年齢を67歳として終期を一律に定めています。
また、中間利息控除係数については、基本的にライプニッツ係数が用いられています。
それぞれの項目についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧になってみてください。
つまり、たとえば後遺障害14級が認定された場合には、労働能力喪失率を5%として、それぞれの年齢や収入に応じた逸失利益が計算されることになります。
やはり、症状に応じた等級認定を得ることが非常に重要となります。
後遺障害診断書の内容についてなども相談することが可能なので、後遺障害が残った場合には、ぜひ弁護士に相談してみてください。
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以上、交通事故による後遺障害の症状やその等級認定基準について理解を深めていただけたでしょうか。
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交通事故の被害にあった場合、様々な後遺障害の症状が残ってしまう可能性があります。
そのように、日常生活にも影響が及ぶような症状が残った場合、しっかりとした補償を受け取るべきです。
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まとめ
いかがでしたでしょうか?
最後までお読みいただけた方には、
- 交通事故による後遺障害の代表的な症状
- 症状ごとの後遺障害の等級認定の基準や条件
- 後遺障害の症状に応じた損害賠償
について、理解を深めていただけたのではないかと思います。
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