交通事故|保険会社からの通院治療費や休業損害打ち切り電話・連絡は無視していい?
交通事故の被害に遭い、怪我を負ってしまった場合、病院に入院や通院をして治療を続けることになります。
しかし、治療を続けていると、保険会社から治療の打ち切りの連絡が来ることがあるようなのです。
交通事故での保険会社から、そろそろ治療の打ち切りをと言われた。
なんでよ?
こっちは痛いんだよ?— 背泳ぎしたら絶対に溺れるカッパ (@kappachantodo) July 28, 2017
特に、むちうちや打撲といった軽症の怪我の場合、打ち切りの連絡が来ることが多いようです。
しかし、実際にはまだ痛みなどが残っているのに、突然打ち切りを宣告されても受け入れられないですよね…。
では、保険会社から打ち切りの連絡が来た場合、
- そのまま受け入れるしかないのでしょうか?
- 治療を継続するために何かできる対策はないのでしょうか?
そこで今回このページでは、治療の継続に関してお悩みの方と一緒に、保険会社から打ち切りの連絡が来た場合の対応について勉強していきたいと思います。
なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
特に軽症の怪我の場合、保険会社から突然打ち切りの連絡が来ることが多くあるようです。
実際に、打ち切りの連絡が来てお悩みの方からたくさんの相談を受けてきました。
その経験も活かしながら、わかりやすく解説していきたいと思います。
目次
交通事故による怪我の治療打ち切りは本当によくあるもののようで、保険会社の間ではDMK136という言葉まで存在しているようなのです…。
https://twitter.com/min_0201/status/748492205510131713
つまり、保険会社では、打撲の場合は1ヶ月、むちうちの場合は3ヶ月、骨折の場合は6ヶ月というのが、だいたいの打ち切りの目安となっているんですね。
しかし、まだ怪我の症状が残っているのであれば、治療を続ける必要があります!
では、治療の打ち切り宣告を受けた場合、被害者の方はどうすれば良いのでしょうか。
ここから一緒に見ていきましょう。
保険会社から治療の打ち切り連絡が…通院治療を続けるポイントは?
ところで…。
そもそも、なぜ保険会社は被害者の方の治療を打ち切る必要があるのでしょうか?
そもそもなぜ治療を打ち切られるの?
交通事故の被害者の方が怪我をして、病院に入院や通院をすることになった場合…。
その際の治療費の支払いについては、
- 被害者の方が立て替えて後から請求する
- 相手側の保険会社から治療機関に直接支払う一括対応
という2つの方法があるようです。
いずれにせよ、最終的には相手側の保険会社が支払うことになるんですね。
営利企業である保険会社としては、当然支払う金額を抑えたいと思うはずです。
そのため、相手側の保険会社が治療の打ち切りを宣告してくることがあるそうなのです。
【重要】治療を延長・継続するための対策
しかし、まだ痛みなどが残っていて治療を続けたいのに、一方的に打ち切られてしまっては非常に困りますよね…。
そのような場合、被害者の方はどうすれば良いのでしょうか?
頚椎捻挫と診断され、首、背中の痛みで現在通院中です。
2018年1月13日までで治療費は打ち切りだと相手の保険会社から連絡がありました。
ですが、まだ痛みはあり、手に力も入りません。
(略)
それほどの状況でもたった1ヶ月で治療費打ち切りなんてありえるのでしょうか?
(略)
自費で通うか、自分の保険会社に相談してくださいと言われました。
納得できません。
出典:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10184590260
対策①弁護士に依頼する
まず一つ目の対策としては、弁護士に相談することです!
打ち切りを避けるためには、まだ治療の効果が期待できることを保険会社に理解してもらう必要があります。
また、保険会社との交渉次第では、治療の期間を区切ることによって、打ち切りの時期を遅らせてもらえる可能性もあります。
どちらの場合でも、保険会社に対し適切に対応するためには、一定の知識と経験が必要となります。
治療費を支払ってもらいながら、納得のいくまで治療を続けられることになれば、非常に安心できますよね。
弁護士に交渉を依頼すれば、治療継続の必要性や、打ち切り時期の延期を訴え、治療を続けられる可能性が高まります。
https://twitter.com/syo_murakumo/status/920240849052561408
弁護士に相談した場合、治療の継続以外にもたくさんのメリットがありますので、ぜひ相談してみていただきたいと思っています。
対策②無視して治療を続ける
また、そもそも骨折部分がまだくっついていないなど、他覚的に見ても完治していないことが明らかな場合には、主治医の治療終了の診断がない限り、通院の必要性があることは明確です。
それにも関わらず、保険会社から治療の打ち切りを伝えられた場合には、通告を無視して病院に通院を続けても問題ないはずですよね?
治療を継続する場合には、診断書にもその旨を記載してもらうことが重要です。
また、一括対応で治療費が支払われていた場合、その後の通院の治療費は、被害者の方が一旦立て替える必要があります。
治療の継続が明らかであるにもかかわらず、一括対応が打ち切られた場合には、一度治療費を立て替えて、後から保険会社に請求するという流れになるのですね。
ところで、他覚的所見が得られる場合には良いですが…。
むちうちや打撲などの軽症の場合、症状としては痛みや痺れのような自覚症状しかありません。
よって、他覚的所見を示すことが難しいため、治療の継続に関してもめることも多くなってしまうようですね…。
確かにむちうちなど軽症の場合、医学的に証明できないことも多いですが、全く証明できる方法がないわけではありません。
たとえば、むちうちによる自覚症状を医学的に証明する方法としては、「画像所見」を示すことや「神経学的検査」の結果を示すことが考えられます。
むちうちの場合、MRIを撮影し、頚椎や脊髄、またはその付近の神経根を圧迫していることが確認できた場合、その画像はむちうちの自覚症状を医学的に証明する有力な医学的所見と言えるようです。
また、「神経学的検査」とは、画像だけでは判断しかねる神経症状について医学的に証明するための様々な検査のことになります。
詳しくは、こちらの記事をご覧になってみてください。
対策③健康保険での通院に切り替える
一方で、被害者の方が治療費を立て替えて通院することになった場合、将来的には返ってくるとしても、治療中の金銭的負担が大きくなってしまいます…。
その場合、健康保険での通院に切り替えることが可能です。
交通事故の怪我の治療であっても、健康保険で通院できるのですね!
健康保険による通院のメリットやデメリットについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧になってみてください。
健康保険を使って立て替えた治療費についても、最終的には保険会社との示談の際に示談金に含めて精算することは可能なのだそうです。
保険会社との示談交渉の流れについては、こちらの記事もご覧になってみてくださいね。
ということで、保険会社から通院の打ち切り通告を受けた場合の対策についてまとめてみました。
まとめ
通院治療費打ち切りに対する対策
他覚所見あり |
---|
・医師による治療終了の判断があるまでは通院治療を継続する |
自覚症状のみ |
・弁護士に依頼して保険会社と交渉する ・治療費を立替え負担して治療を継続する |
怪我の治療を続けられることは、被害者の皆さまにとって非常に重要なこととなります。
少しでも不明・不安な点がある場合には、弁護士に相談してみてくださいね!
打ち切られるのは治療費だけではない!?休業損害(休業補償)も打ち切りの可能性
ここまで、治療費の打ち切りに関して理解を深めていただけたでしょうか。
ところで、交通事故で怪我をして通院を続けることになれば、仕事を休む必要が出てくるかもしれません。
膝の治療には2週間かかると言われ、今でも歩くと右膝が痛む。直接触ると痛みが増す。
交通事故でこんなに会社を休むとは思わなかったし、痛い思いをするとは思わなかった。8月には行けるかな。間に合うかな。— 吉田 龍二 (@ryujiyoshida22) July 30, 2017
その分、収入が減ってしまうという心配もありますよね…。
つまり、怪我の治療による損害は治療費だけではないのです。
事故による怪我が原因で仕事を休んだ場合、保険会社から休業損害が支払われます。
交通事故による怪我が原因で仕事を休まざるを得ない場合、補償を受け取ることができる点には安心しました!
ここで、休業損害の他に休業補償という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
同じものだと思われている方も多いようですが、休業補償とは労災から支払われるもので、自動車保険会社から支払われる休業損害とは全く別物なんです。
違いについて詳しく知りたいという方は、こちらの記事もご覧になってみてください。
また、休業損害は職業などによって計算方法が異なるようなので、詳しくはこちらの記事もご覧になってみてください。
休業損害も打ち切りの可能性あり
そして、実はこの休業損害についても、被害者の方だけで保険会社と交渉した場合、低く見積もられたり、途中で打ち切られたりしてしまうこともあるそうなのです…。
そろそろ休業損害の打ち切りをほのめかされた
期間が長いから保険会社も弁護士入れたらしい。
いろいろ渋くなる。
しかし生活の保障して欲しいよね
働きたくても働けないのにさー
痛い思いして命脅かされて障害残って美容師できねーってなってお金もしぶるとかねーわー— さくら (@sakura1221444) October 13, 2015
被害者の方からすれば、事故による痛みが残っていて働けないのだから、その間の生活の保障をしてくれ!と思うのは当然です。
しかし、休業損害が認められるには、一定の条件が必要であり、保険会社がその条件を満たさないと判断すれば、打ち切りをすることは違法ではないのです。
実は、休業損害がもらえる期間がいつまでか明確に決まっているわけではありません。
休業損害が認められるためには、
- 必要性(交通事故の怪我が休業を必要とする程度のものであったこと)
- 相当性(休業期間として相当なものであること)
という要件が必要となります。
そして、この必要性や相当性は怪我の程度や治療状況などによって判断され、主治医の先生の意見が重要となります。
実務上は、保険会社が主治医に休業が必要な期間について質問する医療照会というものをしたうえで、休業損害の打ち切りを判断することが多いそうです。
この医療照会で、主治医から「休業の必要はない」という回答がなされると、その後の期間の休業損害の請求は困難となってしまいます。
休業損害の打ち切りを回避するための対策は…
休業損害の打ち切りに関しても、弁護士に相談すれば、弁護士から主治医の先生に休業が必要な旨の書類の作成を依頼し、その書類をもとに休業期間を延長できる場合があるそうです。
それ以外にも、医療照会において、不利な回答が出されやすい誘導的な質問がないかチェックしたりすることができる場合もあるとのことです。
休業損害の打ち切りに関しても、ぜひ弁護士に相談してみた方が良さそうです!
治療の効果が見込めない場合は「後遺症の申請」を
以上見てきた通り、保険会社から治療や休業損害の打ち切りを言われたからといって、被害者の方がそれに従う義務はないのです。
当たり前ですが、治療の必要があるのであれば、治療を続け、その分は相手側の保険会社に治療費を請求するべきです。
一方で、どうしても保険会社の治療打ち切りの判断を覆せない場合には、主治医とよく相談し、治療を継続するか否かを決める必要がある場合もあるそうです。
というのも、痛みや痺れなどが残っているとしても、これ以上治療を続けても良くならないこともあるからです。
その段階を症状固定と言います。
症状固定
医学上一般に認められた治療方法を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態
症状固定の判断を下すのは、基本的には主治医となります。
というのも、被害者の方を継続的に診察し治療してきた医師が、被害者の方の怪我の状況や改善見込みなどを一番良くわかっているからです。
症状固定して後遺症の申請をするのも一つの方法
症状固定の判断を下された場合には、そのまま治療を続けるよりも、後遺症の申請をして、後遺症に対する慰謝料などを受け取った方が損害賠償額が高くなることもあるんです。
また、保険会社との無用な争いを避けることもできます。
よって、治療費の打ち切りを通告された場合、症状固定をして後遺症の申請をするのも、一つの方法にはなります。
後遺症の申請方法や、等級の認定方法、後遺症に対する慰謝料などを知りたい場合はコチラの記事もご覧ください。
とはいえ、交通事故の被害者の方の一番の目的は、損害賠償金をもらうことではありませんよね。
被害者の方が一番優先すべきなのは、必要な限り治療を続け、後遺症が残らないように怪我を完治させることです。
完治の可能性があるのに、保険会社から言われたからと言って、無理やり症状固定する必要はありません。
治療の必要がある場合には、弁護士に相談して、相手側に治療費を払ってもらいながら、治療を続けられるのがベストです!
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以上、交通事故の通院の打ち切り連絡が来た場合の対策について理解を深めていただけたでしょうか。
補償を受け取りながら、しっかりと怪我の治療を続けるために、すぐにでも弁護士に相談したいと思われた方もいらっしゃるかもしれません。
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きっと、被害者の方が取るべき対応について、適切なアドバイスをしてくれるはずです。
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最後に一言アドバイス
それでは、最後になりますが、交通事故の通院・治療費の打ち切りに関してお悩みの方に一言アドバイスをお願いします!
交通事故で怪我をするだけでも辛いところ、保険会社から治療打ち切りの連絡が来てしまっては、今度の生活が非常に不安になってしまうはずです。
そんなときは、迷わず弁護士に相談することをおすすめします。
なぜなら、治療費などをしっかりと補償してもらいながら、納得できるまで治療を続けるべきだからです。
しかし、保険会社の言う通りに治療を打ち切り、示談を進めてしまうと、改めて治療費料などを請求することは極めて困難になります。
そうなる前に、ぜひ弁護士無料相談を活用してみてください。
面倒な手続きや交渉などのお力にもなれるはずです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
最後までお読みいただけた方には、
- 交通事故による怪我の通院打ち切りに対する対策
- 治療の効果が見込めない場合には後遺症の申請をするのも一つの方法である
という点について、理解を深めていただけたのではないかと思います。
納得のいくまで治療を続けるためには、今すぐに弁護士に相談したいと感じた方もいらっしゃるかもしれません。
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この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。