交通事故の流れ|連絡の順番などわからないことはこの記事を読めば解決
「はじめての交通事故で流れが全然わからない…」
多くの方にとって、交通事故は初めての経験でしょうから、交通事故の流れを把握されていないのも当然のことかと思います。
このページでは、そんな方のために、
- 交通事故発生直後の流れの中で警察や加害者とすべきやり取りは?
- 交通事故で各保険から保険金を受け取るまでの流れは?
- 交通事故による治療の流れで気をつけるべきポイントは?
- 交通事故で後遺障害が認定されるまでの流れは?
- 示談?裁判?交通事故の解決までの流れは?
といった疑問を解消すべく、徹底的に調査し、その結果を報告してまいります!
なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。
よろしくお願いします。
交通事故の発生から解決までの流れを理解しておけば、その時々ですべき行動を予め把握でき、適切かつ余裕を持った行動を取ることができます。
反対に、交通事故の流れがわかっていないと、その後の見通しが立たないことがストレスになり、しっかり治療を受けられない恐れもあります。
ここで交通事故の発生から解決までの正しい知識を学んで、交通事故にあった場合にも、慌てず冷静に行動できるようにしておきましょう。
目次
大切なご家族が交通事故に遭っただけでもショックなのに、そのうえ今後のことも色々と考えなければならないというのは、非常に大変なことだと思います。
母が交通事故に遭い救急搬送された。
頭を強打してて痛々しい姿で寝てた。今後の事を含め凄く心配。
— けい・えぬ (@love02280902) August 6, 2015
そんなとき、交通事故発生から解決までの流れを理解していれば、今後の不安も少しは減らすことができるのではないでしょうか?
まずは、交通事故発生直後の流れから見ていきたいと思います!
交通事故発生直後の対応の流れ
交通事故の被害者になってしまった場合には、以下のような流れを辿ることになります。
まずは何よりも人命が大事です。
ケガをするのは被害者の方だけとは限りません。
負傷者がいる場合には、119番通報で救急車を要請してください。
以下は、被害者、加害者ともに命に別状がなかった場合の流れについて、詳しく見ていきたいと思います。
交通事故後の警察とのやり取りの流れ
事故発生の報告
交通事故が発生した場合、お互いの安否を確認したうえで、まずは110番通報で警察に連絡してください。
たとえ、お互いにケガのない物損事故の場合でも、警察への連絡を怠ると道路交通法違反に問われてしまいます。
交通事故があつたときは、(略)当該車両等の運転者(略)は、(略)警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における(略)損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
出典:道路交通法第72条1項
警察への連絡は加害者側がすることが多いようです。
しかし、加害者側が連絡していないような場合には、被害者であっても必ず警察に連絡をしてください。
軽い事故の場合、加害者側から「警察を呼ばずに当事者間で解決しよう」と持ちかけられることもあるようですが、絶対に応じないで下さい。
警察に連絡しなかった場合、道路交通法違反になるだけではなく、警察(自動車安全運転センター)から交通事故証明書を発行してもらえないことになります。
その場合、後から事故があったことが証明できず、色々な支障が生じる可能性があります。
警察へ連絡をすると、
- ケガ人の有無
- 簡単な事故状況
- 事故現場の住所
などを聞かれるそうです。
気が動転している状況かもしれませんが、落ち着いて答えられるようにしましょう。
実況見分
人身事故の場合
交通事故の直後に、当事者がケガをしている場合、その事故は人身事故になります。
人身事故であることが判明している場合には、警察が事故現場に到着次第、実況見分が行われることになります。
実況見分
警察が、犯罪や事故が起きた場所における犯人、被害者、目撃者その他の位置関係や状況を明らかにすること。
交通事故における実況見分は、事故がどのような原因で発生し、どのようになったかを記録するものです。
よって、
- 事故の当事者や目撃者などからの聴取
- 距離や位置関係の測定
- 事故現場や事故車両の撮影
などが行われます。
その際、交通事故の被害者と加害者は、それぞれ別々に事故の状況聴取が行われるのだそうです。
この実況見分によって作成される実況見分調書は、事故直後に第三者である警察が当事者の言い分を聞いたうえで作成されるものです。
よって、事故状況(過失割合)に争いが生じたときに重要な証拠となります。
当事者のケガが重く、救急車で搬送されたような場合には、後日に実況見分が行われることになるようです。
物損事故の場合
これに対し、事故直後に当事者のケガが判明していない場合、警察には物件事故(物損事故)として扱われることになります。
物件事故扱いの場合、実況見分は行われず、物件事故報告書という簡易な書類が作成されるだけになるそうです。
【注目】人身事故への切り替え
ところで、事故直後にはケガをしていないと思っていたけれど、その後に痛みが出てくることも多いようです。
交通事故の後日、痛みが出て、通院することになった場合でも、物損事故のままにしていて良いのでしょうか。
何か、するべき対応があるのでしょうか?
そのような場合には、警察に人身事故への切り替え手続きを依頼する必要があります。
具体的には、事故を管轄(担当)している警察署に診断書を持っていく必要があるそうです。
この人身事故への切り替え手続きをしておかないと、
- 原則、自賠責保険から治療費や慰謝料などを受け取れない
- 実況見分調書が作成されず、事故状況(過失割合)につき争いが生じたときの証拠が得られない
- 自賠責保険が使えても、軽微な事故とみなされて、治療の終了時期の判断や後遺障害の認定で不利に働くことがある
といったリスクが生じてしまうとのこと。
ちゃんと人身事故への切り替え手続きを行えば、実況見分が行われることになります。
人身事故 | 物件事故 | |
---|---|---|
警察作成書類 | 実況見分調書 | 物件事故報告書 |
自賠責保険の適用 | 〇 | ×※ |
※物件事故扱いのままでも、自賠責保険適用される場合あり。
ここまで、交通事故が発生した直後から警察に連絡した後までについて見てきました。
ここまでの警察とのやり取りの流れの中で、注意しておくべきポイントはありますか?
お伝えのとおり、実況見分調書は、事故状況(過失割合)に争いが生じたときに重要な証拠となります。
よって、実況見分調書の記載内容と異なる主張を後日にしても、なかなか認められません。
実況見分においては、
- 自分の記憶や主張は正確かつ詳細に伝える
- 記憶の不確かなことはあいまいな回答をしない
- 供述調書の署名、押印は調書の内容をしっかり確認し、必要に応じて修正を求める
ことが必要となります。
また、人身事故への切り替えは、事故から時間が経過すると、警察が積極的に応じてくれなくなるそうです。
人身事故への切り替え手続きは、事故後なるべく速やかに行う必要があるということは覚えておいた方が良さそうです。
警察への連絡後に被害者の方が加害者に対してするべき対応の流れ
交通事故の被害者になってしまった場合には、事故状況の記録が必要ということでしたね。
よって、交通事故直後に加害者に対し、以下の事項を確認する必要があるとのことです。
加害者への確認事項
- ① 加害者の氏名・住所・連絡先
- ② 加害車両の自賠責保険の保険会社・契約番号
- ③ 加害車両の任意保険の保険会社・契約番号
- ④ 加害車両の自動車登録番号
以下、可能であれば、
⑤ 加害車両の所有者
⑥加害行為者の勤務先の名称・連絡先
それぞれの確認方法と目的について、以下の表にまとめてみました。
事項 | 確認方法 | 目的 |
---|---|---|
氏名・住所・連絡先 | 運転免許証 | 今後の賠償のやり取り |
自賠責保険会社・契約番号 | 自賠責保険証明書 | 被害者請求 |
任意保険会社・契約番号 | 保険証券 | 今後の賠償のやり取り |
自動車登録番号 | 車検証 | 被害者請求 |
車両の所有者 | 車検証 | 賠償請求の余地の確認 |
勤務先の情報 | 名刺など | 賠償請求の余地の確認 |
※交通事故証明書で確認できる事項あり
すべて確認できない場合には…
こうやって見ると、確認しなければいけないことがたくさんあるんですね…。
しかし、事故直後には気が動転していて、確認漏れが出てきてしまいそうです。
また、加害者が素直に情報を教えてくれない場合もありますよね。
そのような場合にはどうすればいいのでしょうか?
②、④の事項は後日、交通事故証明書を取得することにより確認可能ですので、加害者が教えてくれない場合に無理に聞き出す必要はありません。
ひとまず、加害者の連絡先さえ確認しておけば、それ以外の事は後からでも確認可能ですので、連絡先交換だけは必ず行いましょう。
警察・加害者とのやり取り以外に被害者が行うべき対応の流れ
対応①証拠収集
ここまでで、警察への連絡や、加害者に対して行うべき対応についてわかってきました。
その他にも、交通事故直後に被害者が行うべき対応はあるのでしょうか?
その他、交通事故直後に被害者の方が行っておくべきことには、
- ① 事故現場の状況の撮影
- ② 事故車両など被害にあった物の撮影
- ③ 事故の目撃情報や目撃者の連絡先確認
などが挙げられます。
なるほど。
しかし、先ほど、人身事故の場合は警察が実況見分を行うという話がありました。
実況見分でも、事故現場や被害状況の撮影や、事故の目撃情報の確認などは行われるということでしたよね。
そうであれば、わざわざ被害者自身が同じような行為をしなくてもいいような気もします…。
被害者自身でも証拠収集を行うべき理由
ではなぜ、被害者が警察の実況見分で行うようなことを自分でもしなければいけないのでしょうか?
事故が発生し、警察に連絡をしても、警察が事故現場に到着し、実況見分が行われるまでにはある程度の時間が掛かることになります。
たとえば、事故現場は警察が到着するまで、そのままにしておくのが望ましいですが、交通の妨げになる場合等には車両を移動させる必要があります。
そういった場合、車両を移動させる前に、現場の状況を撮影したり、目印をつけたりしておく必要があります。
また、実況見分はあくまで、刑事手続に必要な限度でしか撮影をせず、被害にあった物の細かい部分までは撮影しません。
そのため、被害者自身で被害にあった物をしっかりと撮影しておく必要があります。
なお、事故直後に被害にあった物を撮影しておくことは、その後の加害者側との物損の交渉にも有効ということです。
また、事故に関係のない目撃者は、事故直後に事故現場を立ち去ってしまうことがほとんどなのだそうです。
よって、事故直後に連絡先を交換しておいた方が良いのですね。
対応②保険会社への連絡
警察への通報の後、加害者は保険会社へ連絡するということでした。
ここで、被害者の方も、任意保険に加入している場合には、自身の任意保険会社に事故の報告をした方が良いということです。
被害者の方ご自身に過失割合がない場合にも、自身の保険会社には必ず連絡して下さい。
過失割合が認められない交通事故の場合にも、ご自身の保険の、
- 人身傷害保険
- 搭乗者傷害保険
- 車両保険
などを使用する可能性があり、使用の前提として事故報告をしておく必要があるからです。
対応③すぐに病院で診断書を書いてもらう
警察からの聴取などが終わり、事故現場を離れたら、被害者の方はすぐに病院で診察を受け、診断書を書いてもらうことが重要ということです。
ここでのポイントは、痛みがある場合は通院するでしょうが、痛くなくても病院に行って検査を受けるということです。
先ほども述べたとおり、交通事故による痛みは、事故直後は自覚がなくても、少し経ってから痛みを感じるようになることがあるそうです。
しかし、事故から時間が経って通院すると、後に痛みがあることや事故との因果関係を疑われる可能性があります。
事故後すぐに病院に通院し、医師に診断書を書いてもらっていれば、そういったことを疑われる可能性を減らすことができますね。
通院は事故当日に行くのが一番ですが、少なくとも2〜3日以内には通院しましょう。
継続通院することになったのであれば、警察署に診断書を持参し、人身事故扱いに切り替えてもらうのを忘れないようにしてくださいね!
事故現場 | 事故直後 | ||
---|---|---|---|
行うべき対応 | 証拠収集 | 保険会社に連絡 | 病院に通院 |
注意点 | 警察が到着する前に行動 | 自身に過失割合がない場合にも連絡 | 2〜3日以内に |
以上、交通事故発生直後の対応の流れについて見てきました。
直後の対応については、こちらの記事でより詳しく解説されていますので、良ければご覧になってみてください。
交通事故での各保険会社とのやり取りの流れ
相手側の保険会社とのやり取りの流れ
警察への通報後に必要な対応としては、保険会社への連絡になります。
交通事故の加害者が任意保険に加入している場合、その後のやり取りは保険会社の担当者と行うことになります。
そして、相手側の保険会社とのやり取りの流れは大まかに以下のようになります。
ここからは、各手続きについて詳しく見ていきましょう!
①担当者からの挨拶
まずは、担当者から連絡があり、自身が今後の手続きの窓口となることが伝えられます。
直接自宅などに来ることもあれば、電話や書面で連絡が来ることもあるそうです。
基本的には、担当者以外の方は詳しい事案を把握していないので、今後は担当者となった方とのみやり取りをすることになるようです。
②担当者に通院する治療機関の連絡
加害者側が任意保険会社に加入している場合、治療費を相手側の保険会社から治療機関に直接支払うという対応をしてくれることが多いようです。
この対応は、一括対応と呼ばれているそうです。
この一括対応をするためには、相手側の保険会社と治療機関が直接連絡を取る必要があります。
よって、担当者に通院する治療機関の名称と連絡先を伝える必要があるということですね。
③担当者から書類の送付
しばらくすると、保険会社の担当者から書類が一式送られてくるようです。
しかし、なんとなく想像はできますが、記入しなければいけない書類が多く、非常に面倒なようです。
先日の交通事故で保険会社から同意書などが届き記入中。被害側とはいえ当然なんらかの手続きがあるとは思っていたがこれほど面倒とは
— アイザー (@aizawaCB) July 30, 2012
とはいえ、補償を受け取るためには、しっかりと対応しなければですね!
保険会社から送られてくる書類としては主に、以下のようなものが挙げられるそうです。
保険会社からの書類
- 通院交通費明細書
- 休業損害証明書
- 支払指図書
- 同意書
など
なお、支払指図書とは、賠償金の振込先を指定する書類のことです。
これら、保険会社の担当者から送られてくる書類について、特に注意しておくべきことはあるのでしょうか?
同意書は送られてきたらすぐに返送する必要があります。
先ほどお伝えした一括対応をしてもらうためには、同意書の送付が不可欠だからです。
一括対応のためには、被害者の診断書などが病院から保険会社に送られる必要があります。
しかし、診断書の記載内容は個人情報のため、病院は本人の同意がなければ第三者には送付(開示)できません。
そのため、病院が保険会社宛に診断書などを送付(開示)することを同意する同意書が必要になるのです。
「同意書」と聞くと、あまり内容を理解しないうちに送ると不利益なことがある気もしますが…。
反対に送らないと一括対応してもらえないという不利益があるんですね。
④休業損害の手続き
示談金に関する交渉は、基本的に治療などが終了した後に行うことになるようです。
しかし、事故のケガなどが原因で仕事を休んだ場合、収入がなくなり、当面の生活に影響するため、治療中でも休業損害の手続を取ることができます。
休業損害の手続については、色々と難しい問題がありますが、以下のサイトで詳しく説明されていますので、参考にしてみて下さい!
⑤医療照会
治療が一定期間続くと、相手側の保険会社から医療照会を行いたいと言われることがあるそうです。
医療照会
病院に対して被害者の症状の問い合わせをすること
この医療照会は、相手側の保険会社が
- 休業損害をいつまで支払うか
- 一括対応の打ち切り(終了)時期
の判断材料として用いるようです。
この医療照会を行うために、先ほどの同意書とは別個に新たな同意書の提出を求められます。
こちらの同意書も先ほどの同意書同様、すぐに返送してしまった方がいいのでしょうか?
基本的にはそのとおりですが、注意すべきこともあります。
実際に、医療照会は、相手側保険会社の
- 休業損害をいつまで支払うか
- 一括対応の打ち切り(終了)時期
の判断材料に用いられます。
そして、無条件で医療照会に同意すると、保険会社に都合のいいように誘導されたり、一部の有利な部分だけ抜き出して利用されるおそれがあります。
それでは、そういったことを防ぐには具体的にどうすればいいのでしょうか?
- 医師との面談に被害者の同席を条件とする
- 医療照会の回答書面の写しの交付を条件とする
ことなどが考えられます。
そういった条件をつけずに、医療照会の回答書面の写しの交付を要求しても、保険会社の費用で取得した内部資料として交付を拒否されることが多いです。
ただし、条件をつけようとすると、その時点で一括対応が打ち切られる可能性もあるので慎重な対応が必要です。
なるほど。
なかなか厳しいのですね。
自分ひとりでの対応に不安があるときは、弁護士に相談してみた方が良いのかもしれませんね…。
⑥一括対応の打ち切り(終了)時期の交渉
医療照会の結果などを踏まえたうえで、一括対応の打ち切り(終了)時期の交渉が行われることになります。
保険会社との交渉により、打ち切り(終了)時期が合意できない場合でも、保険会社の判断により、一括対応の打ち切り(終了)は可能です。
一括対応はあくまで保険会社のサービスであり、対応を強制することはできないからです。
保険会社から打ち切りを宣告された場合の対応の流れは、後ほど詳しく説明します。
⑦後遺障害の認定の申請
交通事故によるケガが完治すれば良いですが、治療終了時点で、痛みなどが残っている場合、後遺障害の認定の申請を行う必要があります。
後遺障害の申請方法には、
- 事前認定
- 被害者請求
の2種類があるようです。
事前認定の場合、相手側の保険会社に後遺障害診断書を送付する流れになります。
被害者請求の場合、相手側の保険会社から診断書などの写し一式を送付してもらうという流れになります。
後遺障害認定の申請方法については、こちらのページで詳しく解説されていますので、良ければご覧になってみてください。
⑧示談交渉
治療終了時点、または自賠責保険における後遺障害の等級認定の確定時点で、相手側の保険会社と示談交渉をすることになります。
示談までの流れ及び示談が成立しなかった場合の解決までの流れは後ほど詳しく説明します。
⑨示談
相手側の保険会社と示談交渉のうえ、内容が合意に至れば示談をすることになります。
内容が合意に至ると、相手側の保険会社から免責証書(示談書)という書類が送付されてきます。
この書類に署名・捺印し、保険会社に返送すると、金額にもよりますが、通常1〜2週間で示談金が指定の口座に振り込まれることになるそうです。
まとめ
相手側の保険会社とのやり取り
流れ | 注意点 | |
---|---|---|
① | 担当者からの挨拶 | 態度が悪い場合、苦情という対応策も |
② | 通院機関の連絡 | 一括対応に必要 |
③ | 書類の送付 | 同意書送付は早期に |
④ | 休業損害の手続 | 治療中でも可能 |
⑤ | 医療照会 | 別個に同意書必要 |
⑥ | 一括対応の打ち切り | 保険会社の判断で可能 |
⑦ | 後遺障害の認定申請 | 申請方法は二種類 |
⑧ | 示談交渉 | 交渉成立しない場合別の流れ |
⑨ | 示談 | 1〜2週間で入金 |
自身の保険会社とのやり取りの流れ
交通事故が発生した際、自身も任意保険に加入している場合には、自身の任意保険会社にも事故の報告をした方が良いということでしたね。
事故の報告をすると、保険会社のオペレーターから、自動車保険の証券番号を確認されます。
証券番号がわからない場合には、「契約者の名前」や「車の登録番号」などを伝えれば、保険会社の方で契約内容を特定してくれるようです。
契約内容が確認できた後は、
- 事故の日時や場所
- 相手の連絡先
- ケガの有無
- 壊れているものの有無
などを伝える必要があるということです。
過失割合が認められる場合
ところで、交通事故の中には、被害者側にも事故の責任=過失割合があるケースも考えられます。
そのような場合、自身の保険会社に事故の連絡をすると、自身の保険会社の担当者から連絡が入ります。
そして、その担当者から改めて事故状況などの必要事項を確認されます。
その後のやり取りは、その担当者と加害者本人、または加害者側の保険会社の担当者が行う流れになります。
担当者から、適宜交渉経過の報告が入ります。
示談交渉内容が報告され、その内容に同意すれば、示談の手続きが取られ、事件は解決となるようです。
過失割合が認められない場合
被害者ご本人に過失割合がない場合には、自身で加害者本人、または加害者側の保険会社の担当者とやり取りを行う流れになります。
保険会社が対応してくれず、自身でやり取りするのであれば、保険会社に連絡する必要がないようにも思えます…。
過失割合がない場合にも、自身の保険会社への事故報告は必ずする必要があるのでしょうか?
過失割合が認められない場合にも、自身の保険会社には必ず連絡して下さい。
過失割合が認められない交通事故の場合にも、ご自身の保険の、
- 人身傷害保険
- 搭乗者傷害保険
- 車両保険
などを使用する可能性があり、使用の前提として事故報告をしておく必要があるからです。
また、過失割合がないため、自身の保険会社が示談代行をしてくれない場合、弁護士費用特約に加入していれば、それを使える場合があります。
この場合、相手側の保険会社との示談交渉を弁護士に依頼した場合、その弁護士費用が300万円までは保険会社から支払われることになるそうです!
ただし、やはり使用の前提として事故報告をしておく必要があるとのこと。
つまり、自身に過失割合が認められなくても、自身の保険を使用する可能性があるので、必ず自身の保険会社に連絡すべきということですね。
最後に、過失割合の有無による比較を簡単に表にまとめてみましたので、参考にしてみて下さい。
過失割合有 | 過失割合無 | |
---|---|---|
示談代行 | ○ | × |
使用の可能性がある保険 | ・対人賠償保険 ・対物賠償保険 ・人身傷害保険 ・搭乗者傷害保険 ・車両保険 ・弁護士費用特約 |
・人身傷害保険 ・搭乗者傷害保険 ・車両保険 ・弁護士費用特約 |
自賠責保険への請求の流れ
ここまでは、任意保険会社とのやり取りの流れについて見てきました。
ところで、車を運転されている皆さまは法律に従い、自賠責保険に加入されているはずです。
自賠責保険とは、交通事故の被害者の方を保護するための制度です。
しかし、その本質はあくまでも自動車保険であり、被保険者は保険金を受け取ることができます。
自賠責保険への請求方法としては、
- 加害者請求
- 被害者請求
の2種類があるということです。
ここでは、被害者が直接請求を行う被害者請求の傷害分の請求の流れについて説明していきたいと思います。
①書類の提出
自賠責保険への請求に必要な書類(請求書)は、他にどんな書類が必要かという説明書と併せて書類一式が保険会社に備えられています。
書類一式は、
- 保険会社の窓口に取りに行く
- 保険会社の担当部署に連絡して郵送請求する
という2つの取得方法があります。
書類の提出先は、加害者の加入する自賠責保険会社ですが、書類の取り寄せは別の保険会社からでも大丈夫ということです。
主な提出書類・発行者(作成者)・添付書類は以下の表のとおりとなります。
必要書類 | 発行者 作成者 |
添付書類 |
---|---|---|
①支払請求書 | 請求者 | - |
②印鑑証明書 | 市区町村 | - |
③交通事故証明書 | 自動車安全運転センター | - |
④事故発生状況報告書 | 被害者 | - |
⑤診断書 | 医師 | - |
⑥診療報酬明細書 | 医療機関 | - |
⑦休業損害証明書 | 勤務先など | 源泉徴収票など |
⑧通院交通費明細書 | 被害者 | 領収証など |
※その他必要に応じて提出すべき書類あり
②損害調査
書類が送られてきた自賠責保険会社は、書類に不備がないか確認したうえで、自賠責損害調査事務所に書類一式を転送するようです。
自賠責損害調査事務所は、提出された書類に基づき、事故との因果関係や重過失減額の有無・損害額などを調査します。
提出書類だけでは判断できない場合、
- 事故当事者への事故状況照会
- 病院への照会
- 事故現場調査
などの調査が行われるとのことです。
③損害賠償額の支払い
自賠責損害調査事務所の調査が終了すると、調査報告書が自賠責保険会社に送付されます。
自賠責保険会社は、その調査報告に基づき、支払額を決定し、支払いを行います。
書類に不備がなく、提出書類以外の調査を特に行わない場合には、書類提出から1ヶ月程度で支払手続きが取られます。
以上、交通事故に関する保険会社とのやり取りの流れについて見てきました。
保険対応の流れについては、こちらの記事でより詳しく解説されていますので、良ければご覧になってみてください。
交通事故によるケガの治療の流れ
ケガに対する治療の流れ
交通事故に遭い、無傷であれば幸いですが、ケガをしてしまうことも多いはずです。
交通事故によるケガの治療の流れを大まかに表すと、以下のようになります。
ここから、それぞれについて詳しく見ていきましょう!
まずは病院で受診を
交通事故でケガをした場合、まずは病院で受診し、医師に診断書を書いてもらう必要があります!
大ケガで、救急車でそのまま病院に運ばれるようなケースを除いては、「整形外科」を受診するのがベストだということです。
総合病院が近くにあるという方は、受付で交通事故によるケガの治療について尋ねれば、適切な受診先を案内してもらえるはずです。
むちうちなどの場合、事故直後は自覚がなくても、少し経ってから痛みを感じるようになることがあります。
事故直後には特に自覚症状がない場合でも、病院で受診することが重要です。
というのも、事故から時間が経って通院すると、後に痛みがあることや事故との因果関係を疑われる可能性があります。
事故から数日経って病院を受診したとしても、保険会社には「事故とは無関係の治療」と見なされ、治療費を出してもらえなくなるリスクがあるんですね…。
それは要注意です。
事故当日に行けなかったとしても、少なくとも2〜3日以内には行くようにしましょう!
重症の場合には「入院治療」を
交通事故によるケガが重傷の場合には、事故後すぐに救急車などで病院に運ばれ、そのまま入院することになるでしょう。
このような場合、相手側の保険会社が病院に対し治療費を直接支払ってくれることがほとんどのようです(一括対応)。
また、この入院期間によって、後から相手側に請求できる入通院慰謝料の金額も変わってくるとのこと。
詳しくは、こちらの記事もご覧になってみてください。
慰謝料を多くもらうために、入院期間を長くしてもらうことはできないと思いますが…。
医師により、入院治療は必要ないと判断されるまで、入院治療を続けることは可能です。
入院の必要がなければ「通院治療」を
入院の必要が無いような場合や、ケガの状態が回復し、入院治療の必要がなくなった場合には、通院治療をすることになります。
入院から通院治療に切り替える場合、
- 同じ病院への通院を継続
- 自宅近くなど通いやすい病院に切り替える
どちらでも問題ないようです。
ただし、通院する病院を変更する場合には、相手側の保険会社に連絡をし、新しい病院宛てに治療費を支払ってもらうよう手続きする必要があります。
場合によっては「整骨院」などで治療を
むちうちなどの症状が出た場合、病院ではなく整骨院などへ通院される方も少なくないようです。
実際に、「交通事故の治療専門」と宣伝している整骨院もたくさん見かけますよね。
あなたは、今の生活に満足していますか?
身体の痛み、神経痛、関節痛、怠さ、など
病院の治療だけでは満足いかない方や心配の方。
そんな、あなた【のため】の整骨院。
— 交通事故専門【のため整骨院か (@tk0112toto6) October 16, 2017
整骨院などへの治療費についても、基本的には相手側の保険会社から支払いの対応をしてもらうことになります。
ただし、認められないケースもあるようなので、それについては後ほど詳しく説明したいと思います。
症状固定まで治療を続ける
通院治療を続けた場合、担当の医師から症状固定の判断が下されることになります。
症状固定
医学上一般に認められた治療方法を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態
入通院慰謝料の算定の基礎となる入通院日数は、症状固定時までとなります。
ケガが完治せず、後遺障害が残った場合の症状も、症状固定時の医師の判断や診断書の内容が参照されます。
よって、症状固定は交通事故後の手続きにおいては非常に重要なポイントになるということですね。
支払方法などの決定の流れ
誰が支払うか
交通事故によるケガの治療をする場合であっても、病院との関係では、治療費の支払義務は患者である被害者の方にあることになるそうです。
よって、原則的な治療費の支払方法の流れとしては、被害者が病院に治療費を立替え、立替えた治療費を被害者が加害者側に請求する形になります。
ただし、加害者側が任意保険会社に加入している場合、治療費を相手側の保険会社から治療機関に直接支払うという一括対応という手続きがあります。
この場合、被害者の方は病院の窓口で治療費を立て替える必要がなくなります。
自由診療扱いか保険診療扱いか
また、交通事故の治療に健康保険などの保険を使用するかどうかを決める必要があります。
健康保険を使用する場合、病院に対しては、健康保険証を呈示し、健康保険を使用する意思を伝えるという流れになります。
健康保険証の呈示だけではなく使用の意思をはっきりと伝えるのがポイントです。
なお、自由診療と健康保険診療との違いを表にまとめてみましたので、参考にしてみて下さい。
自由診療 | 健康保険診療 | |
---|---|---|
費用 | 高額 | 低額 |
治療方法 | 制限なし | 制限有り |
病院によっては、健康保険の使用を拒否したり、一括対応に応じてくれないところもあります。
そういった場合に、弁護士が介入することにより、病院の対応が変わった事例もあります。
病院での対応にお困りの方は、弁護士に相談だけでもしてみた方が良いかもしれませんね!
病院とのやり取りにおいて注意すべきポイント
ここまでで、交通事故によるケガの治療や支払いの流れについてはわかってきました。
ところで、治療において一番関わるのは担当の医師だと思います。
治療中の医師とのやり取りは、原則として通常の治療と変わりないようですが、交通事故特有の注意すべきポイントもあるようです。
以下の表にまとめてみましたので、参考になさってみてください。
注目
病院とのやり取りにおける注意点と対応策
注意点 | リスク | 対応策 | |
---|---|---|---|
①治療中の医師とのやり取り | ・診断書の記載内容 ・医療照会の回答内容 |
診断書に治癒と記載されてしまうと、それ以降の治療費が補償されない可能性 | ・事前の確認 ・医師面談 |
②整骨院への通院 | ・原則医師の同意必要 | 病院からの同意がなければ、保険会社から治療費を受け取れない可能性 | ・弁護士介入 |
③転院 | ・診断書の記載内容 ・転院時期 |
・事故から時間が経過した後の通院は相手側の保険会社の了承を得られず、転院後の治療費を支払ってもらえない可能性 ・治癒/中止と記載されてしまうと、それ以降の治療費が補償されない可能性 |
・転医と記載 ・早期に転院 |
打ち切りを宣告された場合の対応の流れ
先ほどもご説明したとおり、相手側の保険会社の判断により、一括対応の打ち切り(終了)を宣告されることがあるということでした。
打ち切りを宣告された場合、
- 治療を継続するかどうか
- 後遺障害の認定の申請をするかどうか
という2つの対応をどうするかにより、その後の流れが変わってきます。
後遺障害申請する | 後遺障害申請しない | |
---|---|---|
治療継続する | ・健保切替 ・治療継続必要という書類作成依頼 ・後遺障害診断書作成依頼 |
・健保切替 ・治療継続必要という書類作成依頼 ・診断書等送付依頼 |
治療継続しない | ・後遺障害診断書作成依頼 | ・診断書等送付依頼 |
なお、打ち切り宣告後も、弁護士が介入し、病院から被害者の症状等を聞き取ったうえで、交渉し、打ち切りを延期させることができた事例もあります。
相手側の保険会社から打ち切りを宣告され、今後どのように行動すればいいかお困りの方は、弁護士に相談だけでもしてみるとよいでしょう。
以上、交通事故のケガに対する治療の流れについて見てきました。
治療の流れについては、こちらの記事でより詳しく解説されていますので、良ければご覧になってみてください。
交通事故による後遺障害の認定の流れ
交通事故による治療を一定期間継続した後も、残念ながら痛みなどの症状が残ってしまうことがあります。
そうなった場合、後遺障害として認定してもらう必要があり、以下のような流れで進むことになります。
ここで、先ほども出てきた症状固定について、
治療や後遺障害に対する賠償金の額は、症状固定までの期間やそのときの症状によって決まる
ということなので、非常に重要となってきます。
この症状固定に関して争いがある場合、最終的には裁判所が判断することになります。
最後に、混同しやすい治療費の打ち切りと症状固定の違いを表にまとめてみました。
治療費の打ち切り | 症状固定 | |
---|---|---|
判断する人 | 相手方保険会社 | 裁判所(主治医) |
影響 | 相手方保険会社が治療機関に直接治療費を支払わなくなる | ・傷害分の損害賠償の終期 ・後遺障害の判断基準時 |
後遺障害の認定の申請手続きの流れ
ここまで見てきたとおり、症状固定時に症状が残存している場合、その症状(後遺障害)は自賠責保険における後遺障害の等級認定を求めることになります。
そして、この等級認定を求める申請手続には、
- 事前認定
- 被害者請求
という2つの方法があるようです。
ここからは、それぞれの方法について、詳しく説明していきたいと思います。
後遺障害認定申請①事前認定
事前認定とは、簡単に言うと、
相手側の任意保険会社が窓口となって、被害者の後遺障害の等級認定を事前に確認する
方法のことです。
一括払制度
交通事故の加害者が、自賠責保険だけではなく任意保険にも加入している場合、被害者は、任意保険会社から、
- 自賠責保険金分
- 自賠責保険金分を超える任意保険会社負担分
を一括して支払ってもらうことになります。
この制度のことを一括払制度といいます。
加害者請求
相手側の任意保険会社は、被害者に一括払いをした後、自賠責保険から、自賠責保険金分を回収します。
この制度のことを、加害者請求というそうです。
この制度が自賠法15条を根拠としていることから、15条請求とも呼ばれています。
被保険者は、被害者に対する損害賠償額について自己が支払をした限度においてのみ、保険会社に対して保険金の支払を請求することができる。
出典:自動車損害賠償保障法第15条
この加害者請求の前提として、一括払いをする相手側の任意保険会社は、自賠責から支払われる保険金分をあらかじめ確認する必要があります。
そのために事前認定という方法があります。
事前認定
事前認定は、相手側の任意保険会社から第三者機関である損害保険料率算出機構に損害調査を委託する方法で行われます。
具体的には、以下のような流れになるそうです。
後遺障害認定申請②被害者請求
それに対し、被害者請求とは、簡単に言うと、被害者ご本人が直接相手の自賠責保険に後遺障害の等級認定を請求する方法のことです。
具体的には、以下のような流れになるそうです。
「事前認定」と「被害者請求」のメリット・デメリット
2つの方法のメリット・デメリットは大まかに以下の表のようになるとのこと。
まとめ
事前認定と被害者請求のメリット・デメリット
事前認定 | 被害者請求 | |
---|---|---|
メリット | ・資料収集の負担なし ・費用負担なし |
・提出書類や時期を決定できる ・示談前にお金が入る |
デメリット | ・手続きが不透明 ・示談までお金入らない |
・資料収集の負担 ・費用負担 |
事前認定のデメリットの1つである「手続きが不透明」とは、保険会社が提出した書類の内容や時期を被害者が把握できないということです。
具体的には、事案によってですが、
後遺障害が認められにくい方向に働く内容の顧問医の意見書
を付けて被害者の後遺障害の等級の認定を損害保険料率算出機構に依頼することがあるようです。
また、保険会社の担当者は多くの案件を抱えているため、申請を後回しにされてしまうケースもあるようです。
また、事前認定の場合、相手側の任意保険会社は必要最低限の書類しか提出してくれません。
それに対して、被害者請求の場合、必要資料以外に認定に有利な医療関係の資料や意見書の添付も可能になります。
そのため、後遺障害の等級認定に争いのあるケースでは、被害者請求の方が望ましいと言えます。
とはいえ、ご本人だけで被害者請求を行うことはなかなか難しいように感じます。
そのような場合、弁護士に依頼をすれば、
- 書類収集の手間が省ける
- 認定に有利となる医療関係の資料や意見書の収集やアドバイスを受けられる
というメリットがあるそうです。
被害者請求をする場合には、特に弁護士に依頼するメリットが大きいと言えるかもしれません。
後遺障害の認定結果通知後の流れ
上記のような手続きにより、後遺障害の認定結果が通知された後、認定結果に納得した場合は、示談交渉に進む流れになります。
一方、認定結果に納得がいかない場合には、
- 自賠責保険への異議申立
- 自賠責保険/共済紛争処理機構への紛争処理申請
- 裁判の提起
という3つのいずれかの方法により、認定結果を争う流れになります。
まとめ
後遺障害の認定結果を争う方法の検証
異議申立 | 紛争処理申請 | 裁判の提起 | |
---|---|---|---|
被害者の対応 | 相手側の加入する自賠責保険会社に異議申立書及び必要書類を提出 | 自賠責保険・共済紛争処理機構に紛争処理申請書及び必要書類を提出 | 裁判所に訴状及び証拠を提出 |
判断権者 | 損害保険料率算出機構 | 紛争処理委員会 | 裁判所 |
費用 | 無料 | 有料 | |
当事者の出席 | 不要※1 | 必要 | |
不服申立 | 何度でも可能※2 | × | 上訴※2 |
※1 醜状障害などでは面談行われる場合あり。
※2 新たな有力資料を提出しないと、結果は変わらないことがほとんど。
これら3つの方法は、被害者ご本人だけで行うことも可能なようです。
とはいえ、自分だけで行うのは非常に難しそうです…。
統計上、これらの方法により、後遺障害の等級認定の結果が覆るケースはほんの一握りです。
それに対して、弁護士に依頼して被害者請求を行った場合、必要資料以外に認定に有利な医療関係の資料や意見書の添付も可能になります。
そのため、後遺障害の等級認定に争いのあるようなケースでは、被害者請求の方が望ましいと言えます。
やはり、弁護士に依頼した方が心強いということですね!
以上、後遺障害認定の流れについて見てきました。
後遺障害認定については、こちらの記事でより詳しく解説されていますので、良ければご覧になってみてください。
交通事故の解決までの流れ
交通事故の示談交渉の流れ
物損事故の場合
ケガ人のいない物損事故の場合には、車の修理などがすべて終わり、損害額が確定した時点で示談交渉を開始することになります。
また、ケガ人のいる人身事故の場合でも、車の修理費など物的損害も生じていることが多く、その場合は、人身に先行して示談することが多いです。
修理費などの損害や過失割合に争いがない場合には、事故後1~2ヶ月くらいで示談できることも多いとのことです。
人身事故の場合
ケガ人がいる人身事故の場合はもう少し時間がかかります。
というのも、ケガが生じた事故のような場合には、治療が終わってから示談交渉を開始する必要があります。
よって、人身事故の場合には、事故後1~2年経ってから、ようやく示談交渉が開始できるということもあるそうです。
症状固定となった時点(治療が終了した時点)、または後遺障害の等級認定の結果が出た時点(結果に納得した時点)で示談交渉を始める流れになります。
具体的には、以下のような流れになるそうです。
①損害額の計算
損害額を計算するためには、病院から症状固定時(治療終了時)までの診断書と診療報酬明細書を取り付ける必要があるとのこと。
これらの書類は、「治療費の確定」に必要なだけでなく、
- 付添看護費
- 入院雑費
- 通院交通費
- 休業損害
- 入通院慰謝料
などの算定にも必要となるそうです。
加害者側の任意保険会社が一括対応をしている場合には、任意保険会社から診断書・診療報酬明細書の写しを受け取ることが可能です。
②相手側の保険会社への請求
損害額の計算が終わった段階で、相手側の保険会社へ請求をする流れになります。
具体的には、
- ① 計算書:損害額から既払額、過失割合が認められる場合には過失割合相当額を差し引いて請求
- ② 裏付資料:治療費の領収書、通院交通費明細書、休業損害証明書、後遺障害等級認定票など
を送付することになるそうです。
加害者側の任意保険会社が対応している場合、既払額は、保険会社に確認すれば教えてもらえることが多いです。
また、相手側の保険会社の方から損害額を計算して提案書を送ってくることもあります。
③示談交渉
相手側の方保険会社へ計算書を送付すると、一定期間経過後、保険会社から回答が来るそうです。
しかし、被害者ご本人だけで請求した場合には、相場よりも低い基準である任意保険基準に従った損害額での回答になることが多いようです。
これに対して、弁護士が請求した場合には、相場と同程度の弁護士基準での賠償額になることが多いとのこと。
適正な慰謝料の獲得に向けては、弁護士に相談することも検討してみた方が良さそうですね!
自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|---|
内容 | 交通事故被害者が最低限の補償を受けるためのもの | 営利企業の保険会社が支払うもの | 弁護士をつけて裁判や相手側との示談をする場合に用いられるもの |
金額 | 最も低い | 自賠責基準よりは高いが、金額は低め | 自賠責基準や任意保険基準よりも高い |
④示談
内容が合意に至ると、相手側の保険会社から免責証書(示談書)という書類が送付されてくるようです。
この書類に署名・捺印し、相手側の保険会社に返送します。
すると、金額にもよりますが、通常1~2週間で示談金が指定の口座に振り込まれることになるそうです。
示談金が振り込まれると、交通事故の紛争は解決ということになります。
まとめ
示談までの流れと注意点
流れ | 注意点 | |
---|---|---|
① | 損害額の計算 | 計算には診断書などが必要 |
② | 相手方保険会社への請求 | 裏付資料の送付も必要 |
③ | 示談交渉 | 弁護士が入らないと弁護士基準が使われない |
④ | 示談 | 入金まで1〜2週間掛かる |
示談不成立となった場合の裁判の流れ
以上、示談の流れについては理解を深めることができました。
しかし、損害額や過失割合などに争いがあって、相手側の保険会社との示談交渉がまとまらないケースもあるかと思います。
その場合には、裁判を起こすことになりますね。
なお、通常は示談交渉を先行させることが多いですが、明らかに示談ができなそうな場合には、示談交渉を経ずに裁判することも可能です。
そして、交通事故の裁判の流れは、大まかに以下のようになるそうです。
ここからは、それぞれの流れを個別に見ていきたいと思います。
①裁判所に訴状を提出
裁判を起こす場合には、訴状という書類を裁判所に提出する必要があります。
書類の提出先は、
- 被害者の住所
- 被告となる人の住所
- 交通事故の発生場所
を管轄するいずれかの裁判所ということです。
また、請求をする金額が、
- 140万円以下の場合には簡易裁判所
- 140万円を超える場合には地方裁判所
に提出するようです。
②第1回口頭弁論期日の指定
訴状を提出すると、1〜2ヶ月後に第1回口頭弁論期日が裁判所から指定されるそうです。
そして、その指定された期日に裁判所に行くことになります。
被告(=交通事故の加害者)は、第1回口頭弁論期日は、訴状に対する回答書面(答弁書)を裁判所に提出しておけば、出席する必要はありません。
被告が、第1回口頭弁論期日までに争う意思を示さなかった場合、裁判は終了し、請求した内容どおりの判決が出される流れになります。
一方、被告が争う意思を示した場合には、次の手続きに進む流れになるようです。
③争点整理・証拠の提出
その後は、月に1回程度のペースで裁判所での期日が開かれ、お互いが主張をし、何が争いになっているのかを整理していくそうです。
同時に、争いになっている部分を中心に、お互いが自分の主張を裏付ける証拠を提出します。
証拠の収集は当事者が行わなければならないとのこと。
しかし、裁判の場合には、送付嘱託などの方法により、裁判所を通じて病院にカルテの送付を依頼することなどもあるそうです。
④和解協議
争点が整理され、証拠が出揃うと、裁判所から和解案が提示されます。
この和解案を元に、当事者双方が和解できるかどうかを協議します。
和解が成立すれば、和解調書が作成され、裁判は終了という流れになりますね。
そして、和解で定められた金銭が支払われれば、紛争は解決となります。
一方、和解が成立しなければ、次の手続きに進むことになります。
交通事故の和解案は、裁判官の現時点での考えを示しながら、損害項目ごとに金額と根拠を示されることが多いです。
そのため、判決になった場合の見通しが立ち、かつ当事者の納得も得られやすいので、和解で解決することが多いです。
⑤尋問
和解が成立しなかった場合、通常、判決を出す前に尋問が行われるようです。
尋問とは簡単に言うと、法廷の場で当事者や裁判官からの質問に回答することです。
交通事故の場合、当事者尋問以外に、過失割合や因果関係などに争いがある場合、
- 事故の目撃者
- 医師
などに証人尋問をすることがあります。
なお、尋問の手続きが終わった後、判決を出す前に改めて和解協議をすることも多いようです。
⑥判決
ここまでの手続きで和解に至らなかった場合には弁論が終結し、1〜2ヶ月後に判決期日が言い渡されることになるようです。
そして、判決期日において判決が言い渡されますが、判決期日は当事者が出席しなくても良いことになっているそうです。
判決に不服がある場合
判決内容に不服がある場合には、2週間以内に控訴状という書類を裁判所に提出する必要があるとのこと。
控訴状が提出された場合には、次の手続きに進む流れになります。
判決に納得した場合
一方、2週間以内に控訴状が提出されない場合には判決が確定し、裁判は終了となります。
判決が確定すると、加害者が任意保険会社に加入している場合、任意保険会社から判決で定められた賠償額が支払われ、紛争は解決となります。
加害者が任意保険に加入していない場合、判決が確定しても、判決で定められた賠償額を支払ってこない可能性があります。
その場合には、判決に基づいた強制執行手続に進み、賠償額の回収を目指す流れになります。
⑦控訴・上告
控訴状が受理されると、50日以内に控訴理由書という書面の提出が求められるそうです。
その後は、最初(一審)の裁判所同様、当事者が主張立証したうえで、和解協議をし、和解できなければ判決という流れになるとのこと。
なお、制度上は控訴審での判決に不服がある場合、上告という不服申立制度がありますが、交通事故において上告が認められるのは稀なようです。
まとめ
交通事故の裁判の流れと注意点
流れ | 注意点 | |
---|---|---|
① | 裁判所に訴状を提出 | 管轄がどこか要確認 |
② | 第1回口頭弁論期日の指定 | 期日は1〜2ヶ月後 |
③ | 争点整理・証拠提出 | 裁判所を通じた証拠収集も |
④ | 和解協議 | 裁判官ある程度考え固まっている |
⑤ | 尋問 | 尋問後に和解することも |
⑥ | 判決 | 判決出ても支払われない場合も |
⑦ | 控訴・上告 | 2週間以内に控訴状 |
紛争処理センターや調停の流れ
ところで、裁判になった場合、長い時間がかかるというイメージがあります…。
実は、当事者間での示談交渉がまとまらなかった場合の解決手段は裁判だけではないようなのです!
交通事故の場合、具体的には、
- 交通事故紛争処理センター
- 交通調停
など、ADR(裁判外紛争解決)機関に相談するという手段があるということです。
重要
裁判とADRの検証
裁判 | ADR | |
---|---|---|
手続 | 厳密 | 簡易 |
費用 | 高額 | 低額 |
期間 | 長期 | 短期 |
公開・非公開 | 公開 | 非公開 |
ここからは、2つのADRの手続の流れをそれぞれ見ていきたいと思います。
紛争処理センターの流れ
紛争処理センターでは、
①電話予約→②法律相談→③和解の斡旋→④審査会の裁定
というような手続きの流れになっています。
相談担当弁護士は、当事者双方から話を聞き、中立公正な立場で争点・賠償額など、和解のための斡旋案をまとめ、当事者双方に提示します。
交通調停の流れ
交通調停は
①申立て→②事情聴取→③調停案の提示→④調停の終了
というような手続きの流れになっています。
調停委員は、当事者双方から話を聞き、中立公正な立場で争点・賠償額など、調停案をまとめ、当事者双方に提示します。
ただし、2週間以内に異議の申立てがあった場合、決定は効力を失い、調停の不成立と同様の結果となります。
交通事故紛争処理センターの利用は、交通事故紛争を解決するうえで、非常に有力な選択肢の一つです。
交通事故の解決にはこのようなADR機関の利用も検討してみるのがいいでしょう。
以上、交通事故の示談や裁判の流れについて見てきました。
示談交渉の解決に向けての流れについては、こちらの記事でより詳しく解説されていますので、良ければご覧になってみてください。
最後に、交通事故の被害に遭った場合の流れを大まかにまとめてみました。
しかし、すべての対応を被害者ご本人だけで行うことは苦労も多いですし、わからないこともたくさん出てくるはずです。
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また、被害者の方の自動車保険に弁護士費用特約がついていれば、保険から弁護士費用が支給されます。
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ここまで、交通事故発生~解決までの流れについて一緒に見てきました。
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最後に一言アドバイス
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お一人では解決できないことも、弁護士に相談や依頼をすることで解決できる問題がきっとあるはずです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
このページを最後までご覧になってくださった方は、
- 交通事故発生直後の流れの中で警察や加害者とすべきやり取り
- 交通事故で各保険から保険金を受け取るまでの流れ
- 交通事故による治療の流れで気をつけるべきポイント
- 交通事故で後遺障害が認定されるまでの流れ
- 交通事故の解決までの手段や流れ
について、理解が深まったのではないかと思います。
しかし、まだ不安や疑問が残っているという方もいらっしゃるかもしれません。
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このページが、少しでも交通事故に遭われた方のお役に立てれば何よりです。
この記事の監修弁護士
岡野武志弁護士
アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階
第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。