後遺障害|14級までの全等級の慰謝料・認定基準・認定までの流れや期間を徹底解明!

  • 後遺障害

この記事のポイントをまとめると
  • 交通事故後に残存してしまった後遺症が後遺障害として認定されると、認定等級に応じた慰謝料逸失利益を受け取れる
  • 後遺障害は等級ごとに認定基準が決まっており、むちうちの場合は14級9号が認定される場合が一番多い
  • 後遺障害認定の申請には、後遺障害診断書を専用の書式に記載してもらう必要があり、申請から認定までには平均1~2ヶ月の期間を要する

後遺障害について詳しく知りたい方はぜひご一読下さい。

author okano
岡野武志弁護士
交通事故と刑事事件を専門とするアトム法律事務所の代表弁護士。

交通事故にあった方は、後遺症に悩まされ、仕事などにも支障が出てしまう場合も多いかと思います。

そういった場合、体が元通りに戻らないのであれば、せめて金銭的な補償をして欲しいと考えるのは当然のことです。

しかし、交通事故においては、後遺障害として認定されない限り、原則として後遺症に対する金銭的な補償は受けられません。

後遺障害等級が認定されるともらえる金額

後遺障害等級が認定されるともらえる金額

後遺障害とは?

先ほど、後遺症という言葉と後遺障害という言葉が出てきました。

後遺障害と後遺症は一般的にはほぼ同じ意味で使われていますが、交通事故においては、両者は別物として扱われます。

後遺症とは何か?

交通事故において、後遺症とは以下のようなものとして扱われます。

交通事故の後遺症とは

急性期症状(交通事故直後から一定期間の強い症状)が治った後も、体に残ってしまった機能障害や神経症状などの症状や障害

いわゆる一般的に使われている意味での後遺症や後遺障害は、交通事故においては、こちらの後遺症として扱われます。

後遺障害の定義

一方、交通事故においては、後遺障害は、上記の後遺症のうち一定の要件を満たしているものだけを意味します。

その一定の要件というものは、一般の方にはややわかりにくい内容になっています。

具体的には、交通事故における後遺障害とは、以下のように定義されています。

交通事故の後遺障害とは
  1. ① 交通事故による負傷に対して行われる医学上一般に認められた治療方法を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態(症状固定)に
  2. ② 残存する精神的又は身体的なき損状態(障害)が
  3. ③ 交通事故による負傷との間に相当因果関係(確かな関連性・整合性)を有し、かつ
  4. 将来においても回復が困難と見込まれ(永久残存性)、
  5. ⑤ その障害の存在が医学的に認められる(証明・説明できる)もので、

労働能力の喪失(低下)を伴うもので、

⑦その程度が自賠法施行令の等級に該当するもの

上記の定義のうち、①の症状固定については、以下の記事に詳しく記載されていますので、ぜひご覧になってみて下さい!

交通事故による後遺症の程度は、一人一人異なり、それぞれ個別に金銭的補償をすべきかや補償金額を定めようとすると

迅速かつ公平な補償

が困難になります。

そこで、交通事故においては

  • 原則として、上記の定義を満たした後遺障害として認定された後遺症だけを補償の対象とし、さらに
  • 後遺障害の程度に応じて1級~14級までの等級を定め、その等級に応じ、慰謝料の金額や逸失利益計算方法を定める

ことで、迅速かつ公平な補償を実現できるようにしています。

後遺障害等級別慰謝料の金額

お伝えしたとおり、後遺障害認定されると認定された等級に応じた慰謝料を受け取れることになります。

そして、交通事故においては、慰謝料などの損害賠償の金額の相場を定める基準として

  • 自賠責保険の基準(自賠責基準
  • 任意保険基準
  • 弁護士基準裁判基準とも呼ばれる)

という3つの基準があり、同じ等級でも、用いられる基準によって受け取れる後遺障害慰謝料の金額の相場には違いがあります。

具体的な等級・基準別の後遺障害慰謝料の金額の相場は以下の表のとおりです。

後遺障害等級・基準別慰謝料相場
等級 自賠責基準 任意保険基準 弁護士基準
1級(別表第1 1600万(1800万) 1600万(1800万) 2800
2級(別表第1 1163万(1333万) 1163万(1333万) 2370
1級(別表第2 1100万(1300万) 1300 2800
2級(別表第2 958万(1128万) 1120万(1128万) 2370
3 829万(973万) 950万(973万) 1990
4 712 800 1670
5 599 700 1400
6 498 600 1180
7 409 500 1000
8 324 400 830
9 245 300 690
10 187 200 550
11 135 150 420
12 93 100 290
13 57 60 180
14 32 40 110

※(  )内の金額は被害者に被扶養者がいる場合

後遺障害等級の中では一番障害の程度が低い14級の慰謝料でも、一番高額な弁護士基準で計算すれば、110万円もの慰謝料を受け取れます。

上記表からもお分かりのとおり、後遺障害慰謝料の金額は、認定される等級だけでなく、どの基準で計算するかによっても大きな違いが生じます。

適正な後遺障害慰謝料の金額を受け取るためには、弁護士に依頼するのが最も可能性の高い方法になります。

後遺障害が認定された場合には、弁護士に依頼した方が、弁護士費用を差し引いても手元に残る金額が増える可能性が極めて高いといえます。

なお、後遺障害慰謝料の各基準ごとの情報をより詳しく知りたいという方は、以下の記事もぜひご覧になってみて下さい!

後遺障害逸失利益の計算方法

また、先ほどお伝えした、交通事故における後遺障害の定義の中には

労働能力の喪失(低下)を伴う

という要件がありました。

そのため、後遺障害として認定された場合、労働能力が喪失(低下)し、将来得られたであろう収入がなくなる(減少する)ことになります。

そこで、交通事故では、そのような収入の減少分を補償するため、後遺障害が認定された場合、逸失利益を請求できることにしています。

具体的な後遺障害逸失利益計算式は以下のとおりです。

(基礎収入)×(労働能力喪失率)×(労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数)

上記の計算式のうち、後遺障害の等級に応じて労働能力喪失率の相場が以下の表のように定められています。

後遺障害等級別の労働能力喪失率
等級 労働能力喪失率
1 100
2
3
4 92
5 79
6 67
7 56
8 45
9 35
10 27
11 20
12 14
13 9
14 5

なお、後遺障害の逸失利益については、以下の記事により詳しく記載されていますので、ぜひご覧になってみて下さい!

後遺障害認定の基準について

後遺障害認定の基準について

ここまでで、後遺障害等級認定されなければ、後遺障害慰謝料逸失利益を原則受け取れないことがお分かりかと思います。

では、実際のところ、どのような場合であれば、後遺障害の等級が認定されるといえるのでしょうか?

ここからは、後遺障害の認定基準についてお伝えしていきたいと思います。

後遺障害は等級ごとに認定基準が決まっている

交通事故において後遺障害は、部位や障害の内容によって、1~14級までの等級ごとに認定基準が決まっています。

この認定基準は、労災保険の障害認定の基準が準用されています。

交通事故による後遺障害の症状や程度は人によって全て異なるところ、それらすべてを個別に認定していくことは不可能です。

そこで、等級ごとに定められた認定基準に照らし合わせて、どの等級に当たるのかを審査するという方法で後遺障害等級の認定が行われます。

後遺障害の等級ごとの認定基準の総論については、以下の記事により詳しく記載されていますので、ぜひご覧になってみて下さい!

さらに、後遺障害等級の1級~14級までの具体的な認定基準については、以下のリンク先もぜひご覧になってみて下さい。

↓↓数字をクリックすれば後遺障害等級ごとの認定基準が見れます!
1 2 3
4 5 6
7 8 9
10 11 12
13 14

もっとも、ご自身の後遺症後遺障害のどの等級認定される可能性があるのかがよくわからないという方も多いかと思います。

後遺障害はむちうちなら何等級が認定される?

そこで、後遺障害は、交通事故で最も多いむちうちの場合、どの等級認定される可能性があるのかについてお伝えしたいと思います。

後遺障害等級表

むちうちのほとんどは、神経系統の機能又は精神の部位の後遺障害といえます。

なお、神経系統の機能又は精神の部位の後遺障害は、障害の内容による区分はないことになります。

そして、後遺障害等級表上、むちうちで認定される可能性があるものとしては

  • 第7級4号  神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  • 第9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に限定されるもの
  • 12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
  • 14級9号 局部に神経症状を残すもの

が挙げられます。

なお、神経系統の機能又は精神の部位の障害には、後遺障害等級表上、1~3級や5級もありますが、むちうちで認定されることはまずありません。

さらに、7級や9級についてもむちうちで認定される可能性は極めて少ないため、以下では、12級13号と14級9号に絞ってお伝えします。

労災の認定基準

そして、交通事故において準用されている労災の認定基準では、むちうちのような受傷部位の疼痛について以下のように定められています。

  • 第12級 「通常の労務に服することはできるが、時には強度の疼痛のため、ある程度差し支えがあるもの」
  • 第14級 「通常の労務に服することはできるが、受傷部位にほとんど常時疼痛を残すもの」

実務の認定基準

もっとも、上記の労災の認定基準でも、まだ抽象的な内容過ぎてよくわかりませんよね。

そこで、交通事故の損害賠償実務において参考にされている、日弁連交通事故相談センターが発行している

「交通事故損害額算定基準」という表紙の色から通称青本と呼ばれている書籍

には、むちうちのような経度神経障害に関する等級認定の原則が記載されており、

  • 12級は「神経系統の障害の存在が他覚的に証明できるもの」
  • 14級は「神経系統の障害の存在が医学的に説明可能なもの」

とされています。

この後遺障害の認定基準に照らすと、むちうちの場合は14級9号が認定される場合が一番多いと考えられます。

むちうちは画像等で異常が発見しにくく、他覚的な証明が困難な場合が多いからです。

なお、むちうちで後遺障害12級13号の等級が認定される可能性を高める方法ポイントや方法を知りたい方は、以下の記事をぜひご覧下さい!

指が曲がらない場合の後遺障害等級や認定基準

では、以下のツイートをされている方の場合はどうでしょうか?

続いては、指が曲がらない場合の後遺障害認定可能性のある等級とその認定基準をお伝えしたいと思います。

指が曲がらないのは、手指及び足指の後遺障害といえます。

そして、手指及び足指の後遺障害には、障害の内容として、欠損障害と機能障害があるところ、指が曲がらないのは機能障害に区分されます。

後遺障害の認定基準は手指と足指で別々に定められています。

そこで、ここからはそれぞれについて詳しく後遺障害等級や認定基準をお伝えしたいと思います。

手指が曲がらない場合の後遺障害

手の指が曲がらないという機能障害については

  • 両手か片手か
  • 用を廃した指の種類及び本数
  • 関節可動域制限が生じた部位及び程度

により後遺障害の等級及び認定基準が以下のように定められています。

手指が曲がらない場合の後遺障害等級及び認定基準
46
両手の手指の全部の用廃
77
片方の手のいずれかの用廃
5本の指すべて
・親指を含む4本の指
84
片方の手のいずれかの用廃
・親指を含む3本の指
・親指以外の4本の指
913
片方の手のいずれかの用廃
・親指を含む2本の指
・親指以外の3本の指
107
片方の手のいずれかの用廃
・親指
・親指以外の2本の指
1210
片方の手のいずれかの用廃
・ひとさし指
・なか指
・くすり指
147
片方の手の親指以外の指の遠位指節間関節を屈伸できない場合

この後遺障害の等級認定基準における用廃とは、具体的には、

  • 末節骨の長さの1/2以上を失った場合
  • 中手指節関節、近位指節間関節、指節間関節のいずれかの可動域が健康な指の1/2以下になった場合
  • 手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚が完全に脱失した場合

などのことをいいます。

足指が曲がらない場合の後遺障害

一方、足の指が曲がらないという機能障害については

  • 両手か片手か
  • 用を廃した指の種類及び本数

により後遺障害の等級及び認定基準が以下のように定められています。

なお、手の指とは異なり、遠位指節間関節の可動域制限は、後遺障害の等級認定の対象にはなりません

足指が曲がらない場合の後遺障害等級及び認定基準
711
両足のすべての足指の用廃
915
片方のすべての足指の用廃
119
片方の足の親指を含む2本以上の指の用廃
1212
片方の足のいずれかの用廃
・親指
・親指以外の4本の指
1310
片方の足のいずれかの用廃
・人差し指
・人差し指を含む2本の指
・中指・薬指・小指の3本の指
148
片方の足の中指・薬指・小指のうち1本もしくは2本の指の用廃

この後遺障害の等級認定基準における足指の用廃とは、

  • 親指では末節骨の長さの1/2以上、その他4本の指では遠位指節間関節以上を失った場合
  • 中足指節関節又は近位指節間関節(親指の場合は指節間関節)の可動域が健康な指の1/2以下になった場合

のことをいいます。

両者を比較していただくとわかりますが、同じような症状であれば、手の指の方が足の指よりも上位の後遺障害の等級認定がされる傾向にあります。

これは、足の指よりも手の指の方が日常生活や仕事に用いる頻度や重要性が高いことに基づくと考えられています。

また、後遺障害の等級認定がなされる範囲についても、手の指の方が広く認められる可能性があるといえます。

このように、後遺障害等級の認定基準は細かく定められており、その認定基準を把握しておかなければ、適正な後遺障害等級の認定は実現できません。

この後お伝えする後遺障害認定の申請の経験が豊富な弁護士であれば、認定基準についてもしっかりと把握している可能性が高いといえます。

まずは、後遺障害等級の認定基準について弁護士に相談してみて、その回答結果を踏まえて実際に依頼するかどうか検討するのが良いでしょう。

なお、指が曲がらないのを含む指全体の後遺障害については、以下の記事に詳しく記載されていますので、ぜひご覧になってみて下さい!

後遺障害認定までの流れ及び期間について

後遺障害認定までの流れ及び期間について

最後に、後遺障害等級認定されるまでの手続流れを簡単に確認していきたいと思います。

後遺障害等級認定の大まかな流れは以下の図のとおりです。

後遺障害等級認定の流れ

ここでは、上の図の後遺障害診断書の作成のところからお伝えしていきたいと思います。

後遺障害診断書を専用の書式に記載してもらう

交通事故による怪我の治療をしたものの、症状固定の時期でも後遺症が残っている場合には、後遺障害等級認定申請をする流れになります。

後遺障害等級認定の申請には、後遺障害診断書という専用の書式に対して記載してもらうよう医師に依頼をすることになります。

交通事故における後遺障害認定において、後遺障害診断書の書き方は非常に重要になります。

交通事故における後遺障害認定は、基本的に提出された書類の記載内容のみから判断する書面主義が採用されているからです。

なお、後遺障害等級認定が認められる確率を高める後遺障害診断書の書き方や料金の問題については、以下の記事もぜひご覧下さい!

等級の申請|事前認定とは?被害者請求とは?

後遺障害診断書医師に記載してもらったら、後遺障害等級認定申請をするという流れになります。

交通事故における後遺障害等級認定申請には

  • 事前認定
  • 被害者請求

という二つの方法があります。

事前認定とは?

後遺障害等級認定の事前認定とは、簡単に言うと相手方任意保険会社が窓口となり、被害者の自賠責保険に事前に確認する方法のことです。

交通事故の加害者が、自賠責保険だけではなく任意保険にも加入している場合、被害者は、任意保険会社から

  • 自賠責保険金分
  • 自賠責保険金分を超える任意保険会社負担分

を一括して支払ってもらうことになります。

この制度のことを一括払制度といいます。

相手方任意保険会社は、被害者に一括払いをした後、自賠責保険から、自賠責保険金分を回収します。

この制度のことを加害者請求といいます。

この制度が自賠法15条を根拠としていることから15条請求とも呼ばれています。

被保険者は、被害者に対する損害賠償額について自己が支払をした限度においてのみ、保険会社に対して保険金の支払を請求することができる。

この加害者請求の前提として、一括払いをする相手方任意保険会社は、自賠責から支払われる保険金分をあらかじめ確認する必要があります。

その一環として、被害者の自賠責保険の後遺障害の等級認定を事前に確認する事前認定という方法があります。

事前認定は、相手方任意保険会社から第三者機関である損害保険料率算出機構に損害調査を委託する方法で行われます。

事前認定の大まかな流れは以下の図のとおりです。

事前認定の流れ

事前認定のメリット

ご覧頂いたとおり、事前認定は相手方任意保険会社が主体となり、相手方任意保険会社のために行われる手続といえます。

そのため、後遺障害認定の申請の必要書類の収集や費用負担は、原則として相手方任意保険会社となるため、被害者からすると

  • 資料収集の負担が少ない
  • 費用負担がない

ことがメリットといえます。

事前認定のデメリット

また、ご覧頂いたとおり、事前認定は相手方任意保険会社が主体となり、加害者請求の前提として行われる手続といえます。

そのため、後遺障害認定の申請の手続きに、原則被害者は関与できず、自賠責保険に対する保険金(相当額)請求手続きに先行して行われるため、

  • 手続き不透明
  • 等級認定されても、すぐには自賠責保険金(相当額)受領できない

ことが被害者にとってのデメリットといえます。

事前認定のメリット・デメリット
メリット デメリット
資料収集の負担が少ない 手続きが不透明
費用負担がない すぐには保険金受領できない

なお、後遺障害の事前認定について、以下の記事に詳しく記載されていますので、興味のある方はぜひご覧になってみて下さい!

被害者請求とは?

一方、後遺障害等級認定の被害者請求とは、被害者自身が申請主体となって、直接相手の自賠責保険に申請をする方法のことをいいます。

自動車損害賠償保障法には以下のような条文があります。

第三条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。

被害者保護という自賠責の目的を果たすため、保険契約の当事者ではない、被害者に直接請求する権利を認めたものです。

被害者は保険契約の当事者ではないため、条文上「保険金」ではなく「損害賠償額」の支払を請求することになっています。

上の条文は、その場合の自賠責保険への損害賠償額の請求方法を規定したものです。

被害者が請求することや根拠条文から、被害者請求や16条請求などと呼ばれています。

この被害者請求で支払われる損害賠償額を決定するために、被害者請求の手続の中で、後遺障害の等級認定が同時に行われます。

つまり、被害者請求には

  • 後遺障害等級認定申請という側面
  • 自賠責保険保険金(相当額)請求という側面

の二つの側面があるということになります。

被害者請求の大まかな流れは以下の図のとおりです。

被害者請求の流れ

被害者請求のメリット

被害者請求のメリットとしては、被害者が申請主体であり、自賠責保険に対する保険金請求を含んでいることから

  • 提出書類時期コントロールできる
  • 相手方との示談前に自賠責保険から保険金受け取れる

ことなどが挙げられます。

被害者請求のデメリット

他方、デメリットとしては、被害者が申請主体であることから

  • 必要書類や画像の収集負担
  • 費用負担

などが挙げられます。

被害者請求のメリット・デメリット
メリット デメリット
意見書等提出書類を決定可能 必要書類や画像の収集負担
示談前の金銭受領 費用の負担

なお、交通事故における後遺障害の被害者請求について、もっと詳しく知りたいという方は、以下の記事もぜひご覧になってみて下さい!

お伝えしたとおり、後遺障害の申請を被害者請求で行うには、書類を被害者自ら収集しなければならず、非常に手間が掛かります。

この点、後遺障害の申請を弁護士に依頼すれば、面倒な書類の収集負担から逃れることができます。

それだけではなく、後遺障害の申請を弁護士に頼むことには様々なメリットがあります。

具体的なメリットの内容を知りたいという方は、以下の記事もぜひご覧になってみて下さい!

申請から後遺障害認定の結果が出るまでの期間

後遺障害等級認定申請されると、損害保険料率算出機構という機関で審査が行われたのち、結果が通知される流れになります。

そして、損害保険料算出機構では、後遺障害等級認定の申請受付から結果が出るまで期間につき、下記のとおりデータを公開しています。

後遺障害の事案では、30日以内に調査が完了した事案が80.3%となっています。

また、31日~60日で調査が完了する事案は10.7%となっています。

そのため、通常の後遺障害の事案では、9割以上は、 遅くとも2ヶ月以内には調査が完了していることになります。

後遺障害の認定結果が出るまでが遅いと感じられている方は、提出した書類に不足があり、追完を求められている可能性があります。

なお、具体的な日数と割合については、以下の表に記載されているとおりとなります。

申請受付から調査完了までの期間
後遺障害 全体
30日以内 80.3 97.0
31日〜60 10.7 1.8
61日〜90 4.9 0.7
90日超 4.0 0.5

※損害保険料算出機構2017年度自動車保険の概況参照

後遺障害認定されなかったら異議申立ても可能

後遺障害等級認定申請をしたものの、後遺障害認定されなかった、つまり非該当の結果が通知される場合も残念ながらあります。

後遺障害等級認定の結果が通知された後の流れについては、以下の表のようになります。

後遺障害の認定結果通知後の流れ

上記表のとおり、後遺障害等級認定結果が非該当となった理由に納得がいかない場合、認定結果を争ういくつかの方法が考えられます。

後遺障害認定されなかった時の方法①異議申立

まず、自賠責保険に対して後遺障害認定の再判断を求める異議申立てという不服申し立ての方法があります。

こちらの方法は、保険会社からその方法を教えられるなどしてご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

異議申立書書き方必要書類については、以下の記事により詳しく記載されていますので、ぜひご覧になってみて下さい!


そして、異議申立の場合、具体的な審査は審査の客観性・専門性を確保するため、弁護士・専門医・学識経験者など外部の専門家で構成される

損害保険料率算出機構内の自賠責保険審査会

という機関が行います。

なお、異議申立は、自賠責保険が一度判断を下したものに対する再判断であることから、判断が初回の申請より厳しい傾向にあります。

具体的には、少し前のデータですが、後遺障害認定に対する異議申立てが認められる確率5%程度という統計が以下のとおりあります。

後遺障害認定の異議申立ての結果
平成25年度 平成24年度
等級変更あり 4.88 6.06
等級変更なし 92.93 91.76
再調査・時効等 2.18 2.18

※損害保険料算出機構平成25年度の事業概況参照

なお、後遺障害認定に対する異議申立自体には期間や回数の制限はなく、2回目以降の異議申立ても可能です。

ただし、被害者請求の時効との関係で、一定期間内に異議申立をしなければいけない場合があるという注意点があります。

より詳しい内容については、以下の記事に記載されていますので、興味のある方はぜひご覧になってみて下さい!

後遺障害認定されなかった時の方法②紛争処理申請

また、自賠法に基づく指定紛争処理機関である自賠責保険・共済紛争処理機構紛争処理申請の申立をするという方法があります。

紛争処理申請の申立を受けた自賠責保険・共済紛争処理機構は、

  • 弁護士
  • 医師
  • 学識経験者

が紛争処理委員を務める紛争処理委員会が提出された書面などで審査を行い、調停結果を通知します。

費用は無料であり、原則として書面のみで判断され、当事者の出席は不要です。

なお、自賠法に基づく指定紛争処理機関である紛争処理機構の調停は、自賠責保険の枠組みの中での最終の不服申立て方法として位置づけられます。

そのため、紛争処理申請は、異議申立と異なり、1回のみしか申請できず、2回目の申請ができない点に注意する必要があります。

紛争処理機構への申請は異議申立を1回ないし複数回行った後で、慎重に検討した上で行う必要があります。

後遺障害認定されなかった時の方法③裁判提起

また、加害者を被告として裁判を起こすという方法もあります。

冒頭でお伝えしたとおり、裁判所では、自賠責保険の認定結果に拘束されず、判決などにおいて、後遺障害の判断をすることになります。

とはいえ、こちらも冒頭でお伝えしたとおり、裁判所は自賠責保険の認定結果を事実上尊重していると考えられます。

そのため、自賠責保険の申請時とは異なる新たな有力資料を提出しないと、自賠責保険の認定結果と変わらない認定になることがほとんどです。

費用は有料であり、当事者の出席が必要となります。

判決内容に不服がある場合には上訴という制度が設けられています。

なお、後遺障害認定に対する異議申立などについては、以下の記事により詳しく記載されていますので、ぜひご覧になってみて下さい!

後遺障害認定の結果に異議がある場合の方法の比較
異議申立て 紛争処理機構 裁判を起こす
判断機関 損害保険料率算出機構 紛争処理委員会 裁判所
費用 無料 無料 有料
当事者の出席 不要※ 不要※ 必要
不服申立 何度でも可能 上訴

※醜状障害などでは面談行われる場合あり

ご覧頂いたとおり、後遺障害認定されなかった場合など、非該当の理由に納得がいかない場合、認定結果を争うためのいくつかの方法が考えられます。

もっとも、上記の方法により、実際に後遺障害等級認定の結果が変更される確率はかなり低いというのが実情です。

そんな中で、少しでも後遺障害認定結果が変更される確率を高めるには、弁護士などの専門家に依頼するのが有効な方法といえます。

なお、後遺障害認定に対する異議申立の弁護士への依頼については、以下の記事により詳しく記載されていますので、ぜひご覧になってみて下さい!

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最後に一言アドバイス

それでは、最後になりますが、後遺障害に関する問題についてお悩みの方に一言アドバイスをお願いします。

交通事故により残存した後遺症に対する慰謝料や逸失利益などの金銭的補償を受けるには、原則として後遺障害等級認定を受ける必要があります。

そして、交通事故における後遺障害は等級ごとに認定基準が詳細に決まっており、それを把握していなければ適切な後遺障害等級認定は受けられません。

適切な後遺障害等級認定及びそれに伴う慰謝料などの金銭的補償を受けるには、交通事故に強い弁護士に依頼するのが最も可能性が高いといえます。

まとめ

いかがだったでしょうか。

このページを最後までお読みの方は、

後遺障害に関する問題

について理解を深めていただけたのではないかと思います。

これを読んで弁護士に相談した方が良いと思った方も多いハズです。

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また、このホームページでは、交通事故に関する関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてください!

皆さまのお悩みが早く解決するよう、お祈りしています。

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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