バイク事故で入院するほどの怪我をしたら…後遺障害は残る?慰謝料は?

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バイク事故で入院するほどの怪我をしたら…後遺障害は残る?慰謝料は?

バイク事故に遭い、長期間の入院が必要となるような大怪我を負った場合、重い障害(後遺障害)が残ってしまう可能性が考えられます。

もしもそうなった場合、

  • 障害が残ったことに対する慰謝料などの相場は?
  • 障害者として手帳を申請すべき?その申請の方法や等級は?
  • 入院にかかった入院費は保険会社に請求できる?
  • 仕事を休んだり、解雇されてしまったことに対する損害賠償は?

など、わからないことばかりのはずです。

さらに、保険会社との示談交渉で言われたままにして良いのか…怪我の治療だけでなく、保険会社とのやり取りに不安やストレスを感じてしまう方も多いようです。

そこで今回は、バイク事故で入院が必要なほどの怪我を負い、障害が残った場合の対応について一緒に見ていきたいと思います。

少しでも参考になれば幸いです!

なお、専門的な解説は、テレビや雑誌でお馴染みの岡野武志弁護士にお願いしています。

よろしくお願いします。

バイク事故による怪我で入院し、さらに障害が残ってしまった場合、ご本人はもちろん、ご家族の方への負担も非常に大きいもののはずです。

それに加え、保険会社との示談交渉もあり、ストレスを感じてしまう方も多いのではないでしょうか。

これまでに、入院中や障害が残った場合の対応についてお悩みの方から、多くの相談を受けてきました。

その経験も踏まえ、具体的な事例も紹介しながら、わかりやすく解説していきたいと思います。

ではまず、バイク事故怪我を負った場合に、残る可能性のある障害(後遺障害)と、その場合の対応について見てみましょう。

バイク事故で残る障害とその後遺障害に対する慰謝料の相場は?

バイク事故で残る障害とその後遺障害に対する慰謝料の相場は?

バイク事故による怪我や後遺障害の具体例

バイク好きの方であれば、走ることが楽しくて仕方がないはずです。

一方で、自動車とは違い、バイクは生身で走るものなので、もしも事故にあってしまった場合には、重症の怪我を負ってしまう確率が高いと言えるでしょう。

以下に、バイク事故によって負いやすい怪我の一例を挙げてみました。

また、その怪我が完治せずに、残ってしまう可能性のある障害(後遺障害)も一緒に示しています。

参考までにご覧になってみてください。

バイク事故による怪我と後遺障害(一例)
怪我 怪我による後遺障害
足の骨折 股関節・大腿骨の骨折
膝の骨折
脛骨・腓骨の骨折
足首の骨折
など
・関節の可動域制限
・骨の欠損障害
・骨の変形障害
・骨折部周辺の神経障害
など
手の骨折 上腕骨骨折
上腕骨顆上骨折
肘の骨折
手首の骨折
など
神経損傷 脊髄損傷
腕神経叢損傷
など
・身体の麻痺
頭部外傷 頭蓋骨骨折
脳挫傷
硬膜下血腫
びまん性軸索損傷
など
・高次脳機能障害
・身体の麻痺
など
顔面部損傷 顎の骨折・脱臼
鼻骨骨折
眼窩底骨折など
顔の傷
・咀嚼機能、言語機能、歯牙、味覚、嚥下機能障害など
・嗅覚傷害、鼻呼吸困難など
・視力、眼球の調節、運動機能、視野障害など
・外貌醜状
・局部の神経症状
など

場合によっては手足を失ってしまったり、身体に麻痺が残ってしまったりと、非常に重い障害が残ってしまう可能性も考えられます。

バイクに乗る際には、そういったリスクと隣り合わせであるということは理解しておきたいところですね。

それでも乗りたいのがバイク好きの性だとは思うのですが…。

バイク事故の後遺障害には等級の認定が必要!?

では、もしもバイク事故による怪我が原因で後遺障害が残ってしまった場合…。

そのことに対しては、しっかりとした補償を受け取るべきですよね!

バイク事故による怪我が原因で後遺障害が残った場合、その精神的苦痛に対して、相手側の保険会社に後遺障害慰謝料を請求することが可能です。

後遺障害が残ってしまった場合には、相手側に慰謝料を請求することが可能なのですね。

ではここから、その後遺障害慰謝料について詳しく勉強してみましょう!

後遺障害等級認定の方法

まず、慰謝料の金額については、認定される後遺障害の等級によって定められているそうなのです。

後遺障害の等級とは、1級~14級に分けられ、それぞれに認定基準が定められています。

様々な後遺障害等級の認定基準については、こちらの記事で詳しく解説されていますので、ご覧になってみてください。

そして基準に応じて認定された等級に応じて、慰謝料が支払われることになります。

つまり、適正な後遺障害慰謝料を受け取るためには、適正な等級の認定を受ける必要があります。

後遺障害等級の認定の流れは、以下のようになっているそうです。

後遺障害等級認定の流れ

ここで重要になってくるのが、症状固定です。

症状固定とは、以下のような意味になっています。

症状固定

医学上一般に認められた治療方法を行っても、その医療効果が期待しできなくなった状態

簡単に言うと、これ以上治療を行っても良くも悪くもならない状態ということですね。

より詳しく知りたい場合は、こちらの記事もぜひご覧ください。

そして、後遺障害の申請は原則として、自賠責保険に対して行うことになるそうです。

自賠責保険に対する後遺障害の認定申請には、

  • 事前認定
  • 被害者請求

という2つの方法があります。

事前認定

事前認定とは、簡単に言うと、

相手側の任意保険会社が窓口となって、被害者の方の後遺障害の等級認定を事前に確認する

方法のことになります。

事前認定の流れ

被害者請求

一方の被害者請求とは、簡単に言うと、

被害者ご本人が直接相手の自賠責保険に後遺障害の等級認定を請求する

方法のことです。

被害者請求の流れ

後遺障害の等級認定に争いのあるケースでは、被害者請求の方が望ましいそうです。

とはいえ、ご本人だけで被害者請求を行うことはなかなか難しいように感じます。

不安な場合には、弁護士に相談してみた方が良いかもしれません。

バイク事故の後遺障害に対する慰謝料の相場とは!?

以上のようにして認定された等級に応じて、慰謝料の金額は決まっているということでしたね。

その前に、慰謝料には3つの基準があるってご存知でしたか?

慰謝料増額に向けて知っておきたい基礎知識~3つの慰謝料相場の基準~

慰謝料には、

  • 自賠責保険に請求する場合
  • 任意保険会社が提示する場合
  • 弁護士が相手側や保険会社に請求する場合

の3つの基準が存在しているそうなのです。

自賠責基準

自賠責保険会社の慰謝料とは、自賠法に基づく省令により設定されているものです。

自賠法は、交通事故の被害者が最低限の補償を受けるためのものであり、その金額は低く設定されています。

任意保険基準

保険会社でも、任意保険会社による慰謝料基準も存在しています。

ただし、任意保険会社は営利企業のため、もちろん少ない金額で済ませたいと考えているハズですよね。

よって、自賠責の基準よりは高いものの、慰謝料の金額は少ないことが多いということです。

弁護士基準

保険会社の基準と比較して、最も高い基準となっているのが、裁判所や弁護士の基準です。

これは、裁判を行った場合や相手側と示談をする場合に用いられる基準のこと。

ただし、自分ひとりで裁判を起こし、相手側と争うのは、どう考えても難しいですよね…。

よって、高額の慰謝料を獲得するためには、弁護士に依頼をして示談や裁判を行うことが必要ということになるのです。

慰謝料金額の基準
自賠責基準 任意保険基準 弁護士基準
内容 交通事故被害者が最低限の補償を受けるためのもの 営利企業の保険会社が支払うもの 弁護士を付けて裁判や相手側との示談をする場合に用いられるもの
金額 金額は低め 自賠責基準よりは高いが、金額は低め 自賠責基準や任意保険基準よりも高い

バイク事故の後遺障害に対する慰謝料の相場

では、3つの基準がわかったところで、それぞれの基準ごとの後遺障害慰謝料の相場について、以下の表に示しました。

等級ごとの後遺障害慰謝料※1
等級 自賠責基準※2 任意保険基準※3 弁護士基準
1 1100
1600
1300 2800
2 958
1163
1120 2370
3 829 950 1990
4 712 800 1670
5 599 700 1400
6 498 600 1180
7 409 500 1000
8 324 400 830
9 245 300 690
10 187 200 550
11 135 150 420
12 93 100 290
13 57 60 180
14 32 40 110

※1 単位:万円

※2 被扶養者がいる場合や要介護の場合には金額が異なるケースがある。

  ()内は要介護の場合の金額。

※3 旧任意保険支払基準による。

一目瞭然ですが、しっかりとした補償を受けるためには、弁護士基準での慰謝料を受け取るべきですよね。

ただし、被害者ご本人だけで保険会社と交渉しても、低い示談金しか提示してもらえないことがほとんどということです。

加害者が任意保険に入っている場合には、弁護士に依頼して交渉してもらうと、弁護士基準の慰謝料を回収できることがほとんどです。

弁護士基準の慰謝料を獲得するためにも、ぜひ弁護士に相談いただければと思います!

バイク事故と自動車事故では過失割合が異なる!?

ところで、損害賠償にあたっては、過失割合というものも重要となってくるようです。

交通事故における過失割合とは、交通事故の結果に対する責任の割合のことです。

この過失割合は、交通事故の損害賠償と密接な関係があります。

というのも、もしも被害者側に過失がある場合、その過失割合分は相手側に請求出来る損害賠償額から減額されてしまうことになるのです。

では、「バイク対自動車事故」の場合、「自動車対自動車」の場合と比べて、何か違いがあるのでしょうか?

バイクの方が過失割合が低いという声もあるようですが…。

確かに、バイク対自動車事故の場合、自動車同士の事故の場合に比べてバイク側の過失割合が低く判断されることが多いです。

たとえば、自動車同士の右直事故の直進車の基本過失割合は20%ですが、直進車がバイクであった場合の基本過失割合は15%となっています。

これは、バイク対自動車事故の場合、事故の衝撃を直接受けるバイク側の方が重大な損害を被る可能性が高いことが理由の1つと考えられています。

被害者側の過失割合が高いと、その分相手に請求できる損害賠償額が減ってしまうということになります。

バイクの方が交通事故の被害に遭った場合には、過失割合が低く認定されるということなので、多くの損害賠償を受け取ることができる可能性が高いということですね。

以上のような傾向があるということを踏まえて、過失割合について納得いかない点がある場合にも、弁護士などに相談してみた方が良いかもしれません。

後遺障害があると逸失利益も請求できる!

その他、後遺障害が残ってしまったことが原因で、収入などが減少してしまう可能性も考えられます。

そのような場合には、逸失利益として補償してもらうことができるそうです。

逸失利益

後遺障害により労働能力が失われてしまった場合に、本来得られるはずだった収入の減額分を補償するための損害賠償。

まず、逸失利益で最初に争いになるのは、現在、現実に収入の減額が発生しているかどうからしいですね。

後遺障害認定の時点ですでに減収が発生している場合には、将来的にもその減収の継続が見込まれるため、逸失利益は認められやすいです。

また、後遺障害が原因で、

  • 会社の部署を異動させられた
  • 職業選択の幅が狭くなった
  • 積極的な対人関係や対外的な活動が不可能になった

など、労働環境や能力に支障が出ていることが認定されれば、逸失利益が認められることになります。

一方で、実際に後遺障害が残っていても、労働能力に与える影響が小さく、逸失利益が十分に得られないこともあるそうです。

すると、被害者の方は逸失利益を得られず、実際に残っている後遺障害に対する補償として明らかに不十分になってしまいます。

そのような場合には、後遺障害の慰謝料を相場よりも増額させることで、賠償のバランスが取られることもあるそうです。

ただし、そのような証明や交渉を自分ひとりで行うのは難しいですよね。

この場合も、弁護士に相談すれば適切なアドバイスをもらえると思います!

その他受け取れる損害賠償についてはこちらの記事もご覧になってみてください。

バイク事故で後遺障害が残った場合|身体障害者手帳は申請すべき?

バイク事故で後遺障害が残った場合|身体障害者手帳は申請すべき?

ところで、バイクによる怪我で残ってしまう後遺障害には、身体の麻痺や手足の切断など、非常に重いものがあるという話でした。

それに対して、事故の相手側からは慰謝料などの損害賠償を受け取れるわけですが…。

身体に障害が残った場合、身体障害者手帳というものも聞いたことがありませんでしょうか?

身体障害者手帳取得により受けられる支援

実は、バイク事故が原因で、身体障害者手帳を持つことになったという方も意外といらっしゃるようです。

身体障害者手帳の交付を受けた場合、公共料金の割引や補助金などの様々な支援を受けられるようになります。

受けられる支援・サービスの具体例を以下に挙げてみました。

身体障害者手帳取得により受けられるサービス(一例)
医療費などの助成
・医療費の助成
・車椅子や補聴器などの補装具の助成
・リフォーム費用の助成
税金の軽減
・所得税
・住民税
・自動車税など
公共料金の割引サービス
・公共交通機関の運賃割引
・高速道路の利用料金割引
・NHKの放送受信料割引
・携帯電話会社の料金割引
・美術館や博物館、動物園など公共施設の入場料割引
障害者雇用での就職
一般採用だけでなく、障害者雇用での募集にも応募可能

身体障害者手帳申請取得の方法

上記のような支援・サービスを受けるためには、身体に障害が残っているだけでなく、身体障害者手帳の取得が必須となります。

大まかな申請と取得の方法は以下の通りだそうです。

ただし、都道府県によって対応が異なることもあるようなので、申請にあたってはお住まいの市区町村に確認してみた方が良いでしょう。

身体障害者手帳の取得の流れ
障害福祉担当窓口で「身体障害者診断書・意見書」の用紙を入手
指定医に「身体障害者診断書・意見書」を記入してもらう
市区町村の障害福祉担当窓口に、「交付申請書」、「身体障害者診断書・意見書」、写真を提出し申請
審査され、障害等級が決定

その他、身体障害者手帳についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧になってみてください。

身体障害者手帳の交付を躊躇う方もいらっしゃるかもしれません。

ただし、手帳がなければ行政からの支援を受けることはできませんので、申請を検討してみるのも1つの選択肢なのかもしれません。

バイク事故で入院することになった場合の心配事あれこれ

バイク事故で入院することになった場合の心配事あれこれ

以上、バイク事故による怪我で後遺障害が残った場合について見てきました。

ところで、後遺障害が残るほどの怪我をしたのであれば、多くの場合で病院に入院をすることになるのではないでしょうか。

入院した場合、慣れない病院生活に多くの検査、手術をしなければならないことだってあるでしょう。

仕事も休まなければならないし、家族に会える頻度も少なくなってしまいます。

さらに、仕事を休まなければいけないのに、入院費は支払わなければならないし…心配が尽きませんよね。

入院費の支払いは誰が?相手に請求できる?

バイク事故が原因で入院することになってしまった場合…まず一番に気になるのは、「入院費は誰が支払うの?」ということではないでしょうか。

その答えとしては、相手側の保険会社ということになります。

ただし、病院との関係では、治療費の支払義務はあくまでも患者である被害者の方にあることになるそうです。

よって、原則的な入院費の支払い方法としては、被害者の方が病院に入院費を立替え、立替えた入院費を加害者側に請求するという形になります。

ただし、加害者側が任意保険会社に加入している場合、入院費を相手側の保険会社から治療機関に直接支払うという一括対応という手続きがあります。

この場合、被害者の方は病院の窓口で入院費を立て替える必要がなくなります

最初から保険会社が支払ってくれるか、自分で立て替えておいて後から請求するか…どちらにしろ、相手側の保険会社から支払ってもらえるということで安心しました。

後からでも請求できるように、治療に要した領収書などは確実に保管しておくようにしてくださいね!

個室に入院した場合も保険で支払われる?

入院費は相手側に請求できるということですが…。

病院には、相部屋と個室がありますよね。

個室を利用した場合、入院費が高くなると思うのですが、その分もすべて支払ってもらえるのでしょうか?

個室料については、

  • 個室を使用しなければならないほど症状が重篤
  • 個室を使用した方が治療の効果が期待できる

などの必要性がなければ、通常の相部屋と個室との差額分については損害として認めてもらえません。

やはりそうなのですね…。

一方で、病院の状況によっては、相部屋を希望したのに、病院の都合で個室にさせられるということもあるようです。

病院側の都合で個室となってしまった場合にも、相部屋と個室との差額分は自分で支払わなければならないのでしょうか…。

大部屋が満床であったなど、個室を使用したことが病院側の都合であることが証明できれば、個室料について損害として認めてもらえます。

それを聞いて安心しました。

とはいえ、保険会社との交渉では争いになることもあるかもしれません。

入院費に関して、不安な点やお困りの点がある場合には、弁護士などの専門家に相談してみてはいかがでしょうか?

バイク事故の治療に健康保険は使えるの?

ところで、相手側保険会社による一括対応ではなく、自分で入院費を立て替えることになった場合、健康保険などの保険を使用するかどうかを決める必要があります。

しかし、交通事故では健康保険を使用できないというイメージがありませんか?

ところが、厚生労働省は、以下のように交通事故でも健康保険を使えるという通達(通知)を出しています。

犯罪や自動車事故等の被害を受けたことにより生じた傷病は、医療保険各法(健康保険法、船員保険法、国民健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律)において、一般の保険事故と同様に、医療保険の給付の対象とされています

ただし、健康保険を使用する場合には、病院に対して健康保険証を呈示し、健康保険を使用する意思を伝える必要があるとのことです。

健康保険証の呈示だけではなく、使用の意思をはっきりと伝えるのがポイントということです。

ここで、健康保険を使わない自由診療と、健康保険診療との違いをまとめてみましたので、良ければ参考にしてみてください。

自由診療と健康保険診療との比較
自由診療 健康保険診療
費用 高額 低額
治療方法 制限なし 制限有り

病院によっては、健康保険の使用を拒否したり、一括対応に応じてくれないところもあります。

そういった場合に、弁護士が介入することにより、病院の対応が変わった事例もあります。

病院での対応にお困りの場合も、弁護士に相談だけでもしてみた方が良いかもしれませんね!

バイク事故による入院で仕事を休んだ場合の休業補償は?

仕事をしている方が入院をすることになった場合、仕事を休まなければならないことになります。

そうなった場合、お給料にも影響が出てきてしまいます。

そういった場合、休業補償がもらえるなんて話を聞いたことがありませんか?

実は、休業補償というのは労災から支払われるものになります。

仕事中のバイク事故が原因で入院をすることになった場合には、労災から休業補償を受け取ることができます。

一方、仕事中の事故ではない場合には、自賠責保険から休業損害が支払われます。

どちらも、交通事故が原因の障害により、働けなくなった期間の損害を補償するものではありますが、実は別物なのですね。

休業損害と休業補償の違いについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧になってみてください。

ではここからは、より多くの方に関係するであろう、自賠責保険から支払われる休業損害について見ていきます。

休業損害

交通事故により本来得られるはずであった収入や利益を失うこと。

自賠責保険での計算方法

自賠責保険に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は、5700円×休業日数となっているようです。

ただし、1日の休業損害が5700円を超えることを資料などで証明できれば、19000円までは日額の増額が認められています。

上限がありますが、日額が5700円以下の方でも、休業による収入の減収さえあれば、日額5700円で計算されるので、収入の低い人にとっては有利となりますね。

任意保険での計算方法

一方、任意保険や裁判所に対して、休業損害を請求する場合の計算方法は以下の通りということです。

1日あたりの基礎収入×休業日数

1日あたりの基礎収入をどうやって割り出すかは職業別に異なります。

日額5700円未満の人は実際の日額で計算される反面、証明できれば、19000円を超える日額も認められるので、収入の高い人にとって有利となります。

この話の中で誤解されがちですが、休業損害の請求において、日額が最低5700円になるわけでは必ずしもないということは注意しましょう。

よく自賠責保険は最低限の補償をする保険と言われるため、日額が自賠責で定められた5700円以下になるのはおかしいとおっしゃる方がいます。

しかし、自賠責保険の基準が用いられるのは、治療費や慰謝料などを合わせた損害賠償の総額が120万円以内の場合のみとなります。

損害賠償の総額が120万円を超えた場合には自賠責保険の基準は用いられなくなり、任意保険基準や弁護士基準が用いられることになるそうです。

「他の項目では任意保険基準や弁護士基準を用い、休業損害の項目だけ自賠責保険の基準を用いる」というように、良い基準だけ採用することはできないので注意が必要です。

休業損害の日額
自賠責保険 任意保険
原則 5700 1日あたりの基礎収入
上限 19000

職業別の基礎収入など、休業損害についてはこちらの記事で詳しく説明されていますので、良ければご覧になってみてください。

長期間の入院により解雇されたら?

休業損害や休業補償をもらいながら、治療により回復できれば良いですが…。

長期間の入院で仕事を休んだことにより、解雇されてしまう方もいらっしゃるのが現実のようです。

解雇されなかったとしても、長期間仕事を休むことで会社へ迷惑がかかると思い、退職という選択肢を選ぶ方もいらっしゃるでしょう。

もしも職を失った場合、再就職できるまで休業損害が支払われれば理想的ですが…。

退職後の休業損害を支払ってもらうためには、事故の怪我が退職理由であるという相当因果関係を証明する必要があります。

ただし、解雇ではなく、自主退職の形をとってしまうと、その相当因果関係を証明するのが困難となります。

また、相当因果関係が認められ、退職後の休業損害が請求できる場合でも、その期間は、

再就職先を得るための相当期間

までに限定されるため、再就職できるまでの期間全てについて休業損害を支払ってもらえるとは限らない点には注意が必要です。

では、幸い次の会社に再就職できたとして…。

たとえば、事故前の年収が600万円だった方が、再就職後に年収400万円に下がった場合、最初に説明のあった逸失利益を請求できるのでしょうか?

まず前提として、逸失利益として請求できるのは、基本的に後遺障害が認定された場合になります。

そのため、後遺障害が認定された場合には、逸失利益を請求することができると言えます。

ただし、必ずしも転職による収入減全額が補填されるとは限らないので、その点は注意が必要です。

一方、後遺障害が認定されない場合には、転職による収入減を逸失利益として請求するのは困難と考えられます。

なお、事故がきっかけで、転職を余儀なくされたことによる精神的苦痛に対し、慰謝料請求の余地はありますが、認められる金額は少額と予想されます。

バイク事故による長期間の入院が原因の解雇については、なかなか厳しい現実が待ち受けているのですね。

とはいえ、少しでも慰謝料などの増額が期待できるのであれば、しっかりと受け取るべきです!

仕事を解雇されてお悩みの場合は、ぜひ弁護士に相談してみてください。

家族の「入院付添費」は請求できる?

入院したご本人が仕事を休まざるを得ないのは当たり前ですが…。

ご家族の方がバイク事故による怪我で入院することになってしまった場合、家族の方の付き添いが必要になることもあるかもしれません。

しかし、病院に付き添うことになれば、その方も仕事を休んだりする必要が出てきますよね。

専業主婦の方であっても、入院に付き添えば、時間や場所が拘束されることになります。

すると、家での仕事が滞ってしまいます。

その分は何か補償してもらえるのでしょうか…。

ご家族の方の入院に付き添った場合、入院される方の年齢や怪我の症状によっては、入院付添費付き添い看護費)が支払われるケースがあります。

職場や家での仕事ができなくなってしまった分について、補償を受けられる可能性があるのですね。

「入院付添費」が認められる条件や金額とは

ただし、入院付添費が認められるのは、入院に際して、主治医から家族の付添い指示が出ている場合ということです。

とはいえ、主治医から付き添いの明確な指示があることは稀な気もします。

入院される方が小学生未満の幼児である場合には、主治医から明確な指示がなくても、社会常識として親の付き添いが必要となります。

よって、入院付添費が認められる可能性が高いです。

一方、小学生以上の児童や中学生以上の場合には、年齢と怪我の程度によって、付き添いの必要性が判断されることになります。

つまり、入院される方が小学生以上で、年齢や怪我の度合いから付き添いの必要性が微妙な場合には、可能な限り主治医の指示を受けるようにした方が良いとのことでした。

なお、入院付添費の基本単価は、日額6500円ということです。

ただし、被害者の方が幼児であったり、重傷の場合には、付き添いの時間なども長くなるため、日額7150円~8450円の範囲で認めてもらえるようです。

まとめ

入院付添費

幼児(小学生未満) 児童(小学生以上) 中学生以上
ケース 付添いが必須 怪我の程度による 重症の場合に限る
付添い看護費(日額) 71508450 6500円※

※ 症状の程度によっては増額の可能性あり

バイク事故による入院中に転院するにはどうすれば?

ところで、重い怪我で入院した場合、治療の後にリハビリが必要となるケースも考えられます。

リハビリ段階になると、これまで治療を受けていた病院から、リハビリ専門の病院に転院することも多いようです。

他にも、引っ越しをすることになったり、主治医と相性が合わないなどの理由で転院することも考えられます。

バイク事故による治療で、病院を転院する場合、何か気を付けた方が良いのでしょうか。

その場合、従前の主治医に事情を説明して、紹介状を書いてもらい、それを持って転院先の病院に行くのが原則となります。

ただし、紹介状を書いてもらえない場合もあり、その場合には、紹介状なしでも転院が可能な場合もあります。

病院を変える場合は保険会社にも連絡を!

紹介状なしでも転院が認められる場合があるということでしたが、基本的にはあった方がスムーズでしょう。

他に、病院を変更する際に気を付けた方が良い点はあるのでしょうか?

相手側の保険会社に転院の了承を得ておかないと、転院後の治療費を支払ってもらえない可能性があります。

そのため、転院をする場合、事前に予め相手側の保険会社の了承を得ることも必要となります。

その他に、転院時に注意すべきポイントとしては、

①経過の診断書の記載方法

②転院は可能な限り早期に行うこと

なのだそうです。

診断書に記載については、転院の際、経過の診断書に誤って、治癒、中止と記載されてしまうことがあります。

そのため、転院と記載してもらう必要があります。

また、事故から時間が経過した後に転院した場合、相手側の保険会社の了承を得られにくくなってしまう恐れがあります。

その他、事故からしばらくして転院した場合、新しい担当医は転院までの間の治療経過を見ていません。

そのため、事故からしばらくして転院すると、十分な内容の後遺障害診断書を書いてもらえないという不利益が生じる可能性も高くなるそうです。

転院に際して心配なことがある場合には、やはり弁護士に相談してみてください。

入院3ヶ月、1ヶ月、1週間、3日、1日、半年…それぞれの期間に対する入院慰謝料は?

入院3ヶ月、1ヶ月、1週間、3日、1日、半年…それぞれの期間に対する入院慰謝料は?

入院慰謝料の計算方法|基準となるのは「入院期間」

以上、入院することになった場合の心配事について、少しでも参考になったでしょうか。

ところで、入院することになった場合、その精神的苦痛に対して、入院慰謝料というものも請求できるそうなのです。

ここから、入院慰謝料について詳しく見ていきましょう。

後遺障害慰謝料は、認定される等級によって決まっていましたが、入院慰謝料の場合はどのように計算されるのでしょうか?

入院慰謝料は、入院期間によって一定の相場が決まっています。

ただし、入院当初のほうが精神的負担は大きいとの考え方により、入院期間が長ければ長いほど、金額の増え幅は小さくなっていきます。

入院慰謝料の金額は、入院期間によって決まるのですね。

ということは、どんなに重症な怪我を負ったとしても、入院期間が同じだったら入院慰謝料も同じということになってしまいそうですね…。

それならば、主治医の先生にお願いして、入院期間を延ばしてもらいたいところです。

怪我の個数や程度によっては、相場よりも増額してもらえるケースもあります。

また、仕事の都合や育児のために、早期に退院した場合にも、実際の入院期間に対応する慰謝料よりも増額されるケースもあります。

一方で、長期間入院したとしても、入院慰謝料は入院が必要であったと認められた期間に対してしか支払われません。

では無駄に長く入院しても、必要な入院であったと認定されなければ、自腹になってしまうということなんですね。

それならば、怪我の個数や重症度から、慰謝料増額の必要性を訴える方が現実的かもしれません。

バイク事故に対する入院慰謝料の相場

入院期間に応じた入院慰謝料相場は以下の通りになっているそうです。

重症の場合

重傷の慰謝料算定表

重傷の慰謝料算定表

むちうち・軽症の場合

軽症・むちうちの慰謝料算定表

軽症・むちうちの慰謝料算定表

たとえば、重症で入院を6ヶ月した場合には、244万円の慰謝料が支払われることになります。

ただし、骨折などを伴わない軽症の場合には、同じく6ヶ月入院したとしても、慰謝料は152万円となるそうです。

重症で入院から退院した後に、たとえば通院を3ヶ月した場合には、慰謝料は267万円となります。

ところで、慰謝料には3つの基準が存在しているという話がありましたよね。

実は、入院慰謝料についても3つの基準があるのだそうです。

慰謝料の3つの基準
  • 自賠責保険に請求する場合
  • 任意保険会社が提示する場合
  • 弁護士が相手側や保険会社に請求する場合

自賠責保険からの入通院慰謝料の計算方法は、以下のいずれか短い方に、4200円をかけるという方法になるそうです。

  • 入院日数と、実通院日数の2倍の合計
  • 総治療期間

では、任意保険基準と弁護士基準ではどれほどの差があるのか見てみましょう。

「入院」に対する任意保険基準と弁護士基準の検証(一部抜粋)
経過月数 任意保険基準 弁護士基準
1ヶ月 25.2 53
2ヶ月 50.4 101
3ヶ月 75.6 145
4ヶ月 95.8 184
5ヶ月 113.4 217
6ヶ月 128.5 244
7ヶ月 141.1 266

※ 単位:万円

後遺障害慰謝料と同じく、保険会社の慰謝料の基準は非常に低いですね。

よって、しっかりとした補償を受けるためには、やはり弁護士基準での慰謝料を受け取るべきです。

手術したら慰謝料が高くなる?

ところで、怪我の個数や重症度によっては、慰謝料増額の可能性があるという話でした。

そうであれば、手術など、大変な治療を受けた方が慰謝料が高くなったりするのでしょうか?

入院慰謝料は、手術を行うような場合も想定した上で金額が定められているので、単に手術を受けただけでは慰謝料が高くなるとは言えません。

ただし、

  • 麻酔なしでの極度の痛みを伴う手術を余儀なくされた
  • 何回も手術を繰り返すことになった

など、通常想定される入院や手術の範囲を超える極度の精神的苦痛を被ったと評価できるような場合には、慰謝料が増額される余地があります。

それは想像するだけでも辛いですね…。

非常に辛い治療を受けた場合も含め、そもそも弁護士基準の慰謝料を獲得するためにも、ぜひ弁護士に相談してみてください!

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以上、バイク事故で入院するほどの大怪我を負い、障害が残ってしまった場合の対応について理解を深めていただけたでしょうか。

少しでも不安な点があれば、弁護士などの専門家に相談した方が良いでしょう。

最近では、無料相談を行っている弁護士事務所も多いです。

また、被害者の方の自動車保険に弁護士費用特約がついていれば、保険から弁護士費用が支給されます。

弁護士費用特約の内容は、以下の動画で弁護士がわかりやすく解説しています。

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しかし、弁護士の知り合いなんていないし、全国に約4万人いる弁護士の中から、誰に相談すれば良いのかなんてわかりませんよね。

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最後に一言アドバイス

それでは、最後になりますがバイク事故による障害でお悩みの方に一言アドバイスをお願いします!

バイク事故で入院するほどの怪我をされ、後遺障害まで残り、さらに加害者や保険会社との交渉で辛い思いをされていることと思います。

そんなときは、迷わず弁護士に相談することをお勧めします。

なぜなら、辛い思いをした分、適正な金額の補償を受けるべきだからです。

しかし、示談金を提示され、書類にサインしてしまうと、あらためて損害賠償請求を行うことは極めて困難になります。

そうなる前に、ぜひ弁護士無料相談を活用してみてください。

面倒な手続きや交渉などのお力にもなれるはずです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

最後までお読みいただけた方には、

  • バイク事故障害が残ったことに対する後遺障害慰謝料相場
  • 身体障害者手帳交付のメリットや申請方法
  • バイク事故による入院にかかった入院費入院慰謝料などの損害賠償の内容

について、理解を深めていただけたのではないかと思います。

また、保険会社との示談交渉に際しては、弁護士に相談した方が良いと感じた方もいらっしゃるかもしれません。

自宅から出られない方や、時間のない方は、便利なスマホで無料相談を利用するのがおすすめです!

そうではなく、やっぱり直接会って話がしたいという場合は、全国弁護士検索を使って弁護士を探してみてください。

また、このホームページでは、バイク事故や自動車事故に対する保険に関するその他関連記事も多数掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください!

この記事の監修弁護士

岡野武志弁護士

アトム法律事務所弁護士法人
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-11-28 合人社東京永田町ビル9階

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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